池袋暴走事故遺族「厳罰を」87歳元官僚の謝罪申し出断る
4月に東京・池袋で乗用車が暴走し、母子2人が死亡した事故で、妻の松永真菜さん(31)と長女莉子ちゃん(3)を失った会社員の男性(32)が17日、都内で会見し「絶望感が増し、生き地獄のような日々を送っている。家族や友人、全員の人生をめちゃくちゃにされた」と心境を語った。
男性は「洋服やおもちゃを見るたびに2人が(目の前に)出てくるんじゃないか、夢じゃないかと思う」と悲痛な思いを吐露。毎日、祭壇に向かい、「愛しているよ」と声を掛けているという。
4月に行われた最初の会見で男性は「未来が一瞬で奪われた」と心境を語った。
その後も大津市で保育園児2人が犠牲になるなど、全国各地で死亡事故が相次いでいる。
「車は便利だが、凶器にもなる。ハンドルを握る時は常に注意し、優しく気遣いのある運転を心掛けてほしい」と訴えた。
生まれた頃の莉子ちゃんの写真や、莉子ちゃんが描いた絵を公開し、命の大切さに思いをはせるよう呼び掛けた。
また、暴走した車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87)から謝罪の申し出があったが、断ったことを明かし「死を受け入れるのに精いっぱい。2人の未来を一瞬で奪った。厳罰に処してほしい」と声を震わせた。
飯塚元院長は重傷で、警視庁は証拠隠滅や逃亡の恐れがないとの判断から逮捕せず、任意捜査を続けている。
そのため「容疑者」の呼称を使わず報じられたことなどに警察やマスコミが社会的地位がある人間に忖度したとの臆測がネット上に広がっていた。
飯塚元院長は重傷を負った70代男性に謝罪の手紙を送っており、家族によると「伏しておわび申し上げる。自分の過失を責めるばかり」と書かれていたという。
警視庁の任意の事情聴取に「ブレーキをかけたが利かなかった」と説明していることも判明。
現在は胸の骨を折る重傷で入院しており、近く退院する見通し。警視庁は現場で本人立ち会いの下、事故当時の状況を調べる。