なりすまし誤認逮捕、「ネット犯罪の知識不足」
短文投稿サイト「ツイッター」を利用した詐欺事件で、徳島県警三好署が、愛知県豊田市の専門学校生の女性(21)を誤認逮捕していたことがわかった11日、西岡寿典署長らは「捜査は軽率で慎重さを欠いた」と不手際を認め、陳謝した。
女性が容疑を否認し続けたにもかかわらず、勾留が19日間にも及んだ背景には、ネット犯罪に対する県警の知識不足があった。
会見には、西岡署長と安部圭彦副署長のほか、県警刑事部の幹部が出席。
西岡署長らは誤認逮捕に至った理由について、被害者がツイッターで女性とやりとりしていたと申告しており、被害者の現金の振込先の口座が女性名義で、振り込み当日に女性が現金を引き出していたことなどを挙げた。
一方で、釈放後、女性がチケットを送った郵便局を自力で捜し出し、捜査の見直しにつながったことについて、報道陣から「もっと熱心に捜していれば、警察でも見つけられていたのではないか」との厳しい質問が飛ぶと、西岡署長らは釈明に追われた。
同署が、詐欺容疑で11日に書類送検された京都市内の中学3年の少女にたどり着いたのは8月下旬。
西岡署長は「捜査を始めた時は(誰かが女性に)なりすましているということは頭になかった。ネット犯罪への知識不足」と難しさをにじませたが、少女は「犯行の手口は自分で考えた」と話したという。
さらに、西岡署長らは「少女と女性の共犯性を打ち消すことに時間を要した」ことを理由に、発表までに時間がかかったと説明した。
女性が釈放されてから3か月以上が過ぎ、安部副署長らは10日、少女への捜査終結に合わせて女性宅を訪ね、謝罪した。
女性は「そっとしておいてほしい」と答えたという。
地検の町田聡次席検事は11日、女性を処分保留とした理由について、「起訴できるだけの証拠が集まらなかった」と説明。
捜査関係者の1人は、地検が慎重だった理由を「最後まで自供を得られなかったことに難色を示していた。警察の取り調べで、取調官と女性との話がかみ合わない場面も多かったようだ」と打ち明けた。
地検は、女性への謝罪について「少女の処分が決まった段階で、適切に対応する」とした。