「空き家」スズメバチの巣、スズメ「愛の巣」に
「空き家」になったスズメバチの巣に、スズメの家族が棲み着き、ひな鳥が巣立とうとしている。
静岡県熱海市下多賀の不二鈑金塗装の工場で、こんなほほ笑ましい光景が見られる。
スズメバチの巣は高さ約70センチ、直径は太いところで約40センチ。同社代表の薄田功さん(70)によると、巣は3、4年前に隣接する倉庫の軒下にできた。「見る見るうちに大きくなった。危ないからそっとしておこうと思った」という。
だが、「飾れば魔除けになる」と思い立った薄田さん。秋頃、スズメバチの動きが落ち着いたのを見計らって巣を取り外し、工場に移して天井からつるした。
今春、スズメの夫婦が姿を見せるようになり、今月半ば頃には小さな穴が開いて「愛の巣」になったことがわかった。今では出入り口の直径は10センチほどに広がった。
巣の中で「チュンチュン」とさえずり、親鳥に餌をせがんでいたひなたちだが、数日前から3羽が工場内を飛び始めた。屋外へは出て行かず、巣から出て来ないひなも1羽いるらしい。
「ひなの巣立ちを見たい」と心待ちにしていた薄田さんは、「意外と早く出て来た」と目を細めている。