「幸せの国」での政権交代、高まる中国の存在感
インドと中国に挟まれ、「幸せの国」として知られる小国ブータンで、5年ぶりに政権が交代することになった。歴史的に緊密なインドへの依存を強めた与党への反発が背景にある。
近年は中国の存在感が高まりつつあり、ブータンと中印両国との関係に変化をもたらす可能性がある。
◆「依存は危険」
「国民は常に変化を求めている」。首都ティンプーの会社員ジグミさん(40)は、15日に投開票された総選挙(下院選、定数47)の予備選の結果をこう語った。
予備選は、10月18日の本選挙に進む上位2党を選ぶ選挙で、親インドの与党「国民民主党」は4党中、3位に沈んだ。
1位の「ブータン協同党」と2位の「ブータン調和党」が47の小選挙区で政権の座をかけて争う。
ブータンは1949年にインドと友好条約を締結し、中国を含む国連安保理常任理事国との外交関係はなく、貿易の約8割はインドが相手だ。
インドからの輸入増加は貿易赤字や対外債務の拡大を招いており、ティンプーの繊維販売業チェンチョ・ギェルツェンさん(37)は「インドへの頼り過ぎは危険だ。中国などとも関係を強めるべきだ」と話す。