クリオネの新種、富山湾で発見…専門家も驚く
クリオネの新種が富山湾の深海で発見された。富山大学(富山市)が12日、発表した。
冷たい水に生息するクリオネの仲間は、日本周辺では北海道のオホーツク海にしか生息していないと考えられてきたため、本州沿岸で生息が確認されたことに専門家も驚いている。
発見されたクリオネの体長は最大約5ミリ。遺伝子解析で新種と確認された。
クリオネが生息していたのは、新潟県上越市沖約10キロと富山市沖約10キロの水深約250〜1050メートル付近の深海で、水温は0〜2度ほど。
同大理学部が7、10日、調査船を使ってこの海域で深海生物を採取したところ、計約100匹のクリオネが捕獲された。
クリオネは微小な巻き貝を餌としているが、この巻き貝は大気中の二酸化炭素増加に伴う海水の酸性化に弱い。
クリオネの存在は、海水の酸性化の指標になるという。
富山湾のクリオネ調査に加わった北海道蘭越町貝の館の山崎友資館長は「これまでベーリング海まで行かないと調査できなかったクリオネの生体が、富山湾で発見されたことに驚いている。日本の海洋学や地球科学の発展にもつながる」と話した。
クリオネは標準和名「ハダカカメガイ」で、海中を浮遊する貝の仲間。
2016年には、オホーツク海で新種が約100年ぶりに確認されており、今回の発見で世界のクリオネは計5種となる。