日産ゴーン会長ら2人逮捕 報酬50億円過少申告か…日産が声明「私的流用など重大な不正行為」解職提案へ
日産自動車の有価証券報告書にカルロス・ゴーン会長(64)の役員報酬を計約50億円過少に記載した疑いがあるとして、東京地検特捜部は19日、金融商品取引法違反の疑いでゴーン容疑者と、同社代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)を逮捕した。特捜部は横浜市の日産本社を家宅捜索した。
日産は19日に声明を発表し、ゴーン容疑者が会社の資金を私的に流用するなど複数の重大な不正行為があり、解職を取締役会に提案すると明らかにした。内部通報を受けて数カ月間調査し、ケリー容疑者が深く関与していたことも判明したという。同容疑者の解職も取締役会に提案するとしている。
2人の逮捕容疑は共謀し、ゴーン容疑者が2015年3月期までの5年間に計約99億9800万円の金銭報酬を受け取ったのに、計約49億8700万円と過少に記載した有価証券報告書を関東財務局に提出した疑い。
日産の有価証券報告書によると、ゴーン容疑者の報酬は16年度までは3年連続で10億円を超えていたが、17年度は7億3500万円で、過去最高だった16年度の10億9800万円から3割以上減少していた。
ゴーン容疑者はブラジル出身。経営危機に陥った日産にルノーから派遣され、1999年に最高執行責任者(COO)となり、00年に社長に就任した。その後、三菱自動車との提携を主導し、16年12月に同社の会長に就いた。17年4月に日産の社長を退き、代表権のある会長となった。
日産は声明で「関係者に多大な迷惑と心配をかけ、深くおわび申し上げる。早急に企業統治上の問題点を洗い出し、対策を進める」としている。