日中関係改善の象徴「パンダ」貸与で基本合意へ
安倍晋三首相の25日からの訪中に合わせ、中国から日本への新たなジャイアントパンダ貸与に向けて両国政府が基本合意することが19日、分かった。
来年6月を見込む習近平国家主席による就任後初の訪日の際に正式決定を表明する案が中国政府内で浮上している。日中関係筋が明らかにした。
日中両政府はパンダを関係改善の象徴としたい考えだ。
関係筋によると、安倍氏の訪中の際、両国が貸与に関する文書に署名する方向で調整が進められている。
中国は1972年に日中国交正常化を記念し、東京・上野動物園にカンカンとランランを贈り、日本はパンダブームに沸いた。
中国から日本へのパンダ貸与は、関係改善への強い意欲を示すものとみられている。
安倍氏は訪中時に、習氏か李克強首相いずれかとの個別会談で、ジャイアントパンダの貸し出しを要請する方針。
関係筋によると、中国側は積極的に検討する考えを既に日本側に伝えている。
中国政府関係者によると、基本合意を受け、習氏が来年6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせて訪日する際に貸与を正式決定する案が検討されており、頭数や日程などを協議する。
受け入れ先は仙台市の八木山動物公園、神戸市立王子動物園が候補となっている。
中国はパンダ提供を通じて相手国との関係強化を図る「パンダ外交」を各国と展開している。
日本へのパンダの新規貸与が実現すれば、2011年2月以来。
同年12月の日中首脳会談の際は、日本への新たなパンダ貸与で合意し、八木山動物公園が受け入れ先に決まったが、12年の沖縄県・尖閣諸島国有化などの影響で滞り、実現していなかった。