「死後離婚」墓やお金や生活は…女性の相談続々
夫の死後、「姻族関係終了届」を役所に提出して夫の親族とのつながりを断つ「死後離婚」に関する本を横浜市旭区で法律事務所を開く佐藤みのり弁護士(33)が出版した。
タイトルは「夫の死後、お墓・義父母の問題をスッキリさせる本」。知人の大崎美生弁護士と共同で執筆し、書類の出し方から相続、お墓の問題まで網羅した。
法務省の統計では、2008年度に1830件だった姻族関係終了届の届け出件数は、17年度には4895件と約2・7倍になった。
マスコミで取り上げられたことが背景にあるとみられ、佐藤弁護士もこの1年半ほど頻繁に相談を受けるようになり、相談者の大半が女性だという。
〈1〉女性の方が長生きで夫に先立たれる〈2〉義父母の介護を引き受け、夫の親族との関係に苦労する――といったケースが多いという。
「死後離婚」を巡っては、姻族関係終了届の提出だけでなく、旧姓に戻る「復氏届」やお墓のあり方など幅広い問題を含むことから、本書では「夫の死後、義父母の面倒を見る必要があるのか」「夫と同じ墓に入りたくない」「お金や生活はどうなるのか」「手続きの方法」の4項目を、具体的な事例で解説。
単身になった際に必要な生活費について言及するなど、より現実に即して問題を考えられるよう工夫した。
佐藤弁護士は「制度を知らずにモヤモヤした気持ちを抱えていた人に、人生を切り開くきっかけにしてほしい」と話し、「生前から夫婦や親族でコミュニケーションを取り、問題を解決しておく必要もある」とアドバイスしている。