ウナギ養殖、出資詐欺相次ぐ 「国も支援、安心な事業」高齢者標的、相談60件以上
絶滅が危惧されているニホンウナギの養殖をめぐり、出資金名目などで現金をだまし取られるトラブルが相次ぎ、全国の消費生活センターに60件以上の相談が寄せられていることが22日、国民生活センターへの取材で分かった。
今年6月の絶滅危惧種指定で希少性が高まるニホンウナギは価格も上昇傾向にあり、同センターは「養殖事業などにかこつけた出資話は今後増える可能性がある」として注意を呼びかけている。
国民生活センターによると、ニホンウナギの養殖をめぐる出資トラブルに関する相談は、平成25年度以降で約60件に上り、相談者の大半が高齢者だ。ウナギの加工工場への出資話もあるという。
同センターの担当者は「日本人はウナギを好む傾向が強いが、関連事業への投資話は詐欺の可能性が高いので警察に相談してほしい」としている。
ニホンウナギの養殖事業をめぐっては、消費者庁が6月、実際には養鰻場を保有していないのに「食卓によみがえらせる」などとうたって、養殖事業への出資を勧誘し続けた「ライトオンサプライ」(東京都中央区)を消費者安全法に基づき公表し、注意を呼びかけている。
同社に関しては、北海道の70代女性が4月、レターパックで出資金を送るよう指示され、300万円を支払った後、業者と連絡が取れなくなるなどの被害が出ている。
養鰻業の起業についても「水産庁から助成金が得られる見込みがある」などとして出資を募るケースが増えている。
水産庁はホームページ上で「ニホンウナギの国内外での資源管理を推進するため、新たな養鰻場造成などに対する支援は行っていない」としている。