衆院選 10月22日投開票へ 首相演説せず冒頭解散 民進 解散権制約で対抗
政府、与党は28日召集の臨時国会で安倍晋三首相による所信表明演説を実施せず、冒頭で衆院を解散し、総選挙を「10月10日公示―同22日投開票」とする日程を固めた。審議には応じない構えだ。複数の与党幹部が21日、明らかにした。
民進党は公約に、憲法改正による「首相の衆院解散権の制約」を明記する方向で調整に入った。
経済成長よりも再分配を重視する政策理念を掲げ「自己責任社会との決別」も打ち出す。首相の経済成長路線や9条改憲への対抗軸を示す狙いだ。
自民、公明両党も公約づくりを加速。野党4党は首相の解散方針に「国会軽視だ」と反対しており、与野党の駆け引きは激しさを増している。
民進党の大島敦幹事長は21日午前、自民党の二階俊博幹事長と国会内で会談し、首相の冒頭解散方針に抗議した。
民進党の前原誠司代表は「国権の最高機関を愚弄する行為だ」と批判した。
民進党執行部は22日の政策懇談会に公約素案を提示し、25日にも決定する段取りを描く。
前原氏は21日の記者会見で、現行の税制や社会保障について「現役世代への再分配が極めて薄く、若者の貧困問題につながっている」と指摘。
アベノミクスは大企業や富裕層が潤えば地方、中小企業に波及すると想定していると批判し「再分配政策を重視し全世代の不安を解消する」と訴えた。
首相の解散権の制限は、根拠となる憲法7条を改正し、69条に基づく内閣不信任決議案可決の場合に限定する考え方。首相の今回の解散方針をけん制する格好となる。
改憲見解に(1)知る権利の新設(2)地方自治の拡充―などを盛り込む案も有力だ。
一方、自民党公約案では、柱となる「人づくり革命」について「消費税10%の増収分は、幼児教育の無償化、高等教育の負担軽減に集中する」と記述。
改憲では「具体的な憲法改正案を取りまとめ、国会に法律案を提案する」と強調する。
衆参両院の議院運営委員会は、臨時国会召集を協議するため予定していた21日の理事会を見送った。
民進党など野党が、臨時国会冒頭の解散方針に反発したのが理由。議運委はその後、野党の同意を得ないまま、理事会を22日午前に開くと委員長職権で決めた。