74歳町長、記者にセクハラ 宿泊先訪ねて抱きつきキス 岩手
岩手日報社は6日、同社の女性記者が岩手県岩泉町の伊達勝身町長(74)からわいせつ行為を受けたとして、厳重抗議したと同日付の紙面で報じた。
伊達町長は同日会見し、記者に抱きついたことを認めながらも、わいせつ目的を否定した。
同社によると、伊達町長は10月中旬の早朝、取材目的で泊まっていた町内の記者の宿泊先を訪ね、何度も部屋のドアをノック。記者が開けると部屋に入り、抱きついて複数回キスをしたという。
記者はショックを受けて休職しており、刑事告訴を含めて検討中。
同社の松本利巧総務局長は「一部事実と異なる文書が出回り、臆測も出始めたことから報道に踏み切った。謝罪と誠実な対応を求めていく」と話した。
これに対し、伊達町長は会見で「わいせつ目的で会いに行ったのではない」と強調。
自宅で起床して顔を洗おうとした際「助けて」という声が聞こえたと感じ、ホテルに駆け付けた。無事だと分かって思わず抱きしめ、われに返ったという。
「幻聴、幻覚で飛び込んでいった。病とはいえ社会通念上、許される行為ではない。迷惑行為に対し心から謝罪する」と述べた。
キスをしたとの指摘に関しては「記憶にない」と明言を避けた。
伊達町長は1999年に初当選。岩泉町は昨年8月の台風10号の豪雨で、関連死を含め23人が犠牲になった。
災害復旧・復興業務が続く中、伊達町長は今年2月に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受け、8月末ごろから幻覚や幻聴に悩まされていたという。
記者の部屋に入った後の10月30日から12月4日まで休職し、5日に復帰したばかりだった。
進退については「辞職も含めて考えていく」とし「町は昨年の台風10号からの復興途中で、(進退について)関係者と協議している」と述べた。