インフレ加速のベネズエラ、通貨10万分の1に
経済危機が続く南米ベネズエラは、通貨の単位を10万分の1に切り下げるデノミネーション(デノミ)を20日に実施する。
急激な物価上昇(ハイパーインフレ)を抑えて経済の混乱を食い止め、通貨の信用回復を図る狙いがあるものの、効果は疑問視されている。
ベネズエラ中央銀行によると、現在の通貨単位「ボリバル・フエルテ」から、ゼロを五つ減らした新しい単位「ボリバル・ソベラノ」を導入し、新しい紙幣やコインと交換する。
当初は6月に1000分の1の切り下げを行う予定だったが、準備の遅れで延期していた。その間も物価の急上昇に歯止めがかからず、切り下げ幅を拡大することにした。
物価上昇の原因は経済の混乱だ。世界有数の産油国ベネズエラは、2014年秋の原油価格の急落をきっかけに外貨不足に陥り、財政状況が悪化した。
反米左派のマドゥロ政権に対する米国の経済制裁や、多額の補助金支給といった放漫な財政運営も重なり、インフレが加速している。
マドゥロ大統領は、デノミによって「経済は安定し、購買力は回復するだろう」と自信を見せるが、インフレを抑え込めるかは微妙だ。