植松被告、身勝手主張今も…施設襲撃26日で1年
相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人を殺害したとして、殺人罪などで起訴された元職員植松聖被告(27)が22日までに、手紙を通じて共同通信の取材に応じた。
「意思疎通ができない人間を安楽死させるべきだ」などと独善的な主張で自分を正当化する一方、事件に至った理由は曖昧でちぐはぐな印象。遺族らへの謝罪の言葉はなかった。
事件は今月26日で発生から1年。記者は3月に手紙を送り、植松被告から最初の返信が6月上旬にあった。
同月下旬にかけ、もう1通をやりとりした。
事件前から「障がい者は不幸をつくる」と周囲に話していた被告は、計10枚以上にわたった手紙でも、極端に丁寧な文体で差別的な持論を繰り返した。
記者の「強固な考えはいつごろから、どんな環境の中で生まれたのか」との質問には答えず、「意思疎通ができない人間を安楽死させるべきだ」「最低限度の自立ができない人間を支援することは、自然の法則に反する」などと記した。
「障害がある人ではなく、受け入れる社会に問題があるのではないか」との問い掛けには、「人ごととして無責任な発言をする人間の常套句」と反論した。
同施設での勤務経験にも言及。入所者の細かな様子を挙げ、「嫌な思いをすることはあっても、仕事だったのでたいした負担ではない」としつつも、「彼らが不幸のもとである確信をもつことができた」と書いた。
「重度障害者を殺そうと考えたきっかけ」として、過激派組織「イスラム国」(IS)や米大統領選時のトランプ氏のニュースを見たことを挙げた。
しかし、どう影響を受けたかなどは示さなかった。過去の発言との矛盾もみられる。
被告は昨年2月の措置入院中に「ヒトラー思想が降りてきた」と話したとされるが、手紙では「ナチスの優生思想は物事の本質を考えていない」と批判した。
手紙はそれぞれ、「息の詰まる生活が続いている」「逮捕されることは覚悟していたが、時折外の生活を恋しく思う」という近況で結ばれていた。