相続法改正要綱 残された配偶者守る手立てに
高齢社会に対応した妥当な見直しだろう。法制審議会が遺産相続に関する民法改正の要綱を上川法相に答申した。
残された高齢の配偶者の暮らしを守ることに、最大の狙いがある。政府は今国会に民法改正案を提出する方針だ。
柱の一つは、自宅に住み続けられる「配偶者居住権」の創設だ。配偶者のみに認められ、遺産分割時の取り分として選択できる。
この権利を取得すれば、自宅が子供や他人の所有になっても居を移さずに済む。
居住権の財産価値は原則的に本来の所有権より低く評価されるため、その分だけ現金など他の遺産の配分が増えるという利点も見込まれる。
高齢者が新たに住居を確保するのは容易でない。不自由な体に合わせて、自宅をバリアフリー構造にした場合などは尚更だろう。
配偶者と死別した後の一人暮らしが長期に及ぶ高齢者も目立つ。住まいや生活資金を確保しやすくする意義は大きい。
夫婦間の生前贈与や遺言で譲り受けた住居を遺産分割の対象から除外する制度も、配偶者保護の観点から導入される。
相続税法上、居住用不動産の贈与に配偶者控除が適用される条件に合わせ、結婚後20年以上になる夫婦を対象にした。
住居の所有権を有したまま、相続時の取り分が増える効果が期待される。
答申は、相続人以外の親族にも配慮した。介護などに尽力していれば、応分の金銭を相続人に請求できるようにする。
ヘルパーに介護を依頼した場合の費用などを基に、額を算定することになる。
老親の介護を息子の妻が担ったケースなどを想定している。苦労に報いる仕組みは、多くの人に歓迎されるのではないか。新制度が有効に機能するかどうかは未知数だ。
居住権の評価額や介護の貢献度の算定方法は、一般には分かりにくい。かえって争いが増えるとの懸念もある。
様々な事例ごとに、目安が示されれば参考になるだろう。
国民生活に深く関わる制度改正となるだけに、政府は分かりやすい説明に努めてもらいたい。
今回の見直しで対象となる配偶者は、法的に結婚している人に限られる。
法律婚に立脚した相続制度が社会に根付いている実情に照らせば、その土台を維持することは、うなずける。
一方で、家族の形態が多様化しているのも事実である。時代の変化に対応できる相続制度の検討が、今後も欠かせない。
残された高齢の配偶者の暮らしを守ることに、最大の狙いがある。政府は今国会に民法改正案を提出する方針だ。
柱の一つは、自宅に住み続けられる「配偶者居住権」の創設だ。配偶者のみに認められ、遺産分割時の取り分として選択できる。
この権利を取得すれば、自宅が子供や他人の所有になっても居を移さずに済む。
居住権の財産価値は原則的に本来の所有権より低く評価されるため、その分だけ現金など他の遺産の配分が増えるという利点も見込まれる。
高齢者が新たに住居を確保するのは容易でない。不自由な体に合わせて、自宅をバリアフリー構造にした場合などは尚更だろう。
配偶者と死別した後の一人暮らしが長期に及ぶ高齢者も目立つ。住まいや生活資金を確保しやすくする意義は大きい。
夫婦間の生前贈与や遺言で譲り受けた住居を遺産分割の対象から除外する制度も、配偶者保護の観点から導入される。
相続税法上、居住用不動産の贈与に配偶者控除が適用される条件に合わせ、結婚後20年以上になる夫婦を対象にした。
住居の所有権を有したまま、相続時の取り分が増える効果が期待される。
答申は、相続人以外の親族にも配慮した。介護などに尽力していれば、応分の金銭を相続人に請求できるようにする。
ヘルパーに介護を依頼した場合の費用などを基に、額を算定することになる。
老親の介護を息子の妻が担ったケースなどを想定している。苦労に報いる仕組みは、多くの人に歓迎されるのではないか。新制度が有効に機能するかどうかは未知数だ。
居住権の評価額や介護の貢献度の算定方法は、一般には分かりにくい。かえって争いが増えるとの懸念もある。
様々な事例ごとに、目安が示されれば参考になるだろう。
国民生活に深く関わる制度改正となるだけに、政府は分かりやすい説明に努めてもらいたい。
今回の見直しで対象となる配偶者は、法的に結婚している人に限られる。
法律婚に立脚した相続制度が社会に根付いている実情に照らせば、その土台を維持することは、うなずける。
一方で、家族の形態が多様化しているのも事実である。時代の変化に対応できる相続制度の検討が、今後も欠かせない。