厚生労働省の不適切なデータ処理が問題になっている裁量労働制を巡り、同省は２１日、野党６党の会合で、不適切なデータ処理が新たに１１７件見つかったと明らかにした。

同省の地下室で、調査に使った事業所別の原票が見つかった。
１４日の国会答弁で加藤勝信厚労相が「なくなった」としていた。

政府は、働き方改革関連法案の柱の一つである裁量制の拡大適用延期の検討に入っている。
安倍晋三首相は２１日午後、加藤氏と官邸で会談し、自民党内の調整に万全を期すよう指示した。
裁量制不適切データ問題などを巡って反発を強める野党６党の幹事長・書記局長は国会内で会談し、政府に法案の提出見送りを求める方針で一致。
裁量制で働いている人の労働時間の調査を改めて実施すべきだとの認識を確認した。

首相は加藤氏に「しっかりと自民党内の理解を得るように」と指示。
公明党の山口那津男代表とも会談し、山口氏からは「法案提出に当たり政府は体制を立て直すべきだ」と求められた。

衆院予算委員会は２２日、首相が出席して働き方改革をテーマに集中審議を実施する。

野党はこれまで不適切データ問題について「捏造だ」と非難している。
政府は周知や準備の期間を確保することに加え、法案への理解を求めるためには裁量制拡大の施行を予定より１年先送りした方が得策だと判断した。

政府は併せて、野党が根強く批判している一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度（高プロ）」創設についても１年延期し、いずれも２０２０年４月施行とすることを検討している。