安倍前首相を不起訴 東京地検、公設秘書を略式起訴
安倍晋三前首相側が主催した「桜を見る会」前夜祭を巡る収支が安倍氏の関連政治団体の政治資金収支報告書に記載されていない問題で、東京地検特捜部は24日、安倍氏を嫌疑不十分で不起訴処分とし、前夜祭を主催した政治団体「安倍晋三後援会」代表の配川博之・公設第1秘書(61)を政治資金規正法違反(不記載)罪で略式起訴した。
起訴状によると、配川秘書は2016〜19年に開催した前夜祭を巡り、参加者から集めた会費収入や後援会側の負担分の支出など計約3000万円の収支について、後援会の各年分の収支報告書に記載しなかったとされる。配川秘書は罰金刑となる公算が大きい。
安倍氏は政治資金規正法違反と公職選挙法違反の疑いで告発され、特捜部はいずれも不起訴処分とした。
特捜部は24日、安倍氏について「後援会の収支報告書の作成に関与したり、記載内容を把握したりするような、不記載の関与や共謀が認められなかった」と説明した。
後援会の会計責任者と、前夜祭の会場のホテルの領収書の宛名となっていた安倍氏の資金管理団体「晋和会」の会計責任者も不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
関係者によると、前夜祭の費用は参加者の会費を上回り、安倍氏側は15〜19年に約900万円を負担した。
同時期の後援会の収支報告書には負担分を含む前夜祭の収支についての記載がなかった。
配川秘書は特捜部の任意の事情聴取に対し、前夜祭の費用負担や収支報告書の不記載について「安倍氏に説明していなかった」と供述したとみられる。安倍氏本人も聴取に対して不記載などの認識を否定しており、特捜部は安倍氏本人の刑事責任は問えないと判断した。
前夜祭を巡っては、法曹関係者らが安倍氏や配川秘書らに対する告発状を提出。
政治資金規正法違反罪や有権者への金品提供を禁じた公選法違反(寄付行為)罪などに当たるとしていた。特捜部は告発を受理して捜査していた。