保育士不足の実態把握へ、こども家庭庁が初の全国調査方針…人材確保策成功事例も集め支援策参考に
こども家庭庁は、保育士不足の実態を把握するため、初の全国調査に乗り出す方針を固めた。政府の新たな少子化対策により、さらなる人材不足の深刻化が懸念されている。保育施設の職員数や確保策の成功例を調べ、人手不足解消に向けた支援策につなげる。
保育士は、子どもを預かる重い責任に見合わない低賃金などが要因で、人手が不足している。1月の有効求人倍率は3・54倍となっており、全職種の1・35倍を大幅に上回っている。
政府は今年度、保育士の負担軽減のため、1人が担当する4〜5歳児の人数を30人から25人にするなど配置基準を見直した。親の就労状況にかかわらず保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」も、2026年度に全国で実施する。
これにより、保育施設で新たな人材が必要になり、人手不足がさらに深刻になることが危惧されている。そのため、同庁は保育人材の確保に関する実態調査を全国で行うことにした。
調査は、同庁の事業として民間企業が行う。自治体のほか、保育所や認定こども園などが対象で、全国の全ての保育施設約4万か所への実施も検討している。
保育士の人数や配置、勤務状況を聞き取り、施設や地域ごとの人手不足の実態や課題を把握する。人材確保策についても尋ねる。東京都内の自治体などでは、家賃補助を行い保育士を集められた例もある。各地の成功事例を集め、新たな支援策の参考にする考えだ。