事件前「覚醒剤 死亡」検索 履歴や動機を指摘―検察側冒陳、資産家殺害
和歌山県田辺市の会社経営者野崎幸助さん=当時(77)=殺害事件の初公判で、検察側は殺人と覚醒剤取締法違反(使用)罪に問われた元妻の須藤早貴被告(28)が、インターネットで「覚醒剤 死亡」などと検索していた事件前後の履歴や、事件当日の2人の状況などを冒頭陳述で指摘した。
冒頭陳述によると、野崎さんは2017年12月上旬に知人の紹介で須藤被告と知り合い、翌18年2月8日に結婚。3月下旬に離婚届を同被告に渡し、4月27日には、知人の前で同被告に電話をかけ「離婚してほしい」と伝えていた。その後、5月24日に死亡した。
須藤被告は結婚してから5月2日までに、「老人 完全犯罪」「遺産相続 専門家」などとインターネットで検索。4月7〜8日に、密売サイトに掲載されていた連絡先に電話して覚醒剤を注文し、十数万円を支払って入手した。その約1カ月後には、注文の際に使った携帯電話を解約した。
事件当日、野崎さんは午後4時50分から同8時ごろに覚醒剤を摂取したとし、自宅に二人きりで、飲食物を提供可能だった須藤被告が、少なくとも8回、野崎さんが死亡した2階に上がっていたと主張した。
さらに須藤被告が、友人や家族に対し、自然死で遺産を得る予定だったなどと伝えており、動機があったとし、事件後も「昔の携帯 通話履歴 警察」「殺人罪 時効」などと検索していた点を挙げた。
第三者侵入の形跡はなく、野崎さんに自殺する兆候や動機が見当たらず、覚醒剤の使用歴もないとした。
同被告は、野崎さん死亡後に野崎さんの財産から自分の口座に送金した約6834万円のうち、逮捕されるまでに約5500万円を費消したと指摘した。