「英語が話せません」は外国人排除?苦肉の張り紙のわけとは 観光地・金沢で割烹料理店を営む店主が語る
能登半島地震から半年で、徐々に活気が戻りつつある石川県金沢市。加賀百万石の歴史ある風情が残る「ひがし茶屋街」や、およそ180店舗が軒を連ねる金沢の「近江町市場」では、観光客が金沢グルメを求めて“すし詰め状態”だ。
しかしその影響から近江町市場ではゴミのポイ捨てなどトラブルが多発。原則食べ歩きを禁止し、イートインコーナーの利用を呼び掛けているが、言語問題から外国人観光客にはうまく伝わっていないこともしばしば。
そこで混雑時には日本語、英語、中国語に対応した食べ歩き禁止の自動音声のアナウンスを流すなど対応を実施している。
そうしたなか、割烹「むら井」は英語で「一品料理の英語メニューは置いていません。私たちは英語が話せません」と張り紙をした。
むら井は金沢の近海でとれた新鮮な魚介や地元の野菜をふんだんに使った、本格的な加賀料理が味わえる名店で、去年6月から「英語が話せない」と念を押しつつ一部コースの解説を英語に翻訳した張り紙を掲示した。
店主の村井さんは「小さいカニを3000円、大きいズワイガニは3万円と説明したのに、(頼まれて)デカいのを出したら『3000円と言っただろう?』と言われて。『警察呼べ!』というから『喜んで!』と呼んだらおまわりさんが5人来ました」結局、半分の1万5千円に値下げしたと振り返る。
ほかにも半身で出てくるノドグロが1匹まるまる出てくると勘違いされ、クレームを言われたこともあったそう。
張り紙は残念なトラブルを避けるためで、むら井では6000円と8000円のコース料理のみ英訳をつけて案内することにしたという。
「お店としては外国人お断りではない?」という質問には「全然ウェルカム!」と答えて「僕、日本語しか話せないんです。来てもらって結構なんですが、トラブルになるので張り紙をするのが一番いい」と理解を求めた。