あえてスナックで働く女子大生や若い女性の声「キャバクラでは働きたくない」
スナックと言えば、酸いも甘いも噛み分けた妙齢のママが優しく話を聞いてくれるイメージを持つ人も多いのではないだろうか。筆者は長年、関西を中心に夜の街の取材を続けてきたが、最近のスナックでは熟女ではなく、女子大生などの若い女性が働いているのを見かけることがある。
若い女性であればキャバクラのほうが(人気嬢になれば)遥かに稼げると思うのだが……。彼女たちが、あえてスナックで働くのは、いったいなぜなのか?
◆キャバクラとたいして変わらぬ時給でノルマなし
まず、話を聞いたのは大阪市内のスナックに勤務するマイさん(仮名・20歳)。関西では近年、若いスナック嬢が増加している。そのほとんどがマイさんのような学生だ。
「スナックで働いている理由は、単純にキャバクラよりもラクだからです。キャバクラで働いたこともあるのですが、学生だと時給はせいぜい2500円ほど。それで指名客を呼べとか同伴しろとか言われるんです。
スナックの場合は時給2000円ほどでノルマなし。同伴やイベント時には売上バックももらえます。それならばスナックで働いたほうが全然いいですよね」
都内のキャバクラであれば学生でも高額時給をもらえるが、関西では有名店でもなければ通常2500〜3000円が相場となっている。
その一方でスナックの時給は2000円前後と都内と比較しても変わらない。ノルマのプレッシャーを考えるとスナックのほうがラクだと考える若い女性もいるのである。
◆若いパリピ客が苦手
だが、スナックといえば客層が年配というイメージもある。抵抗はないのだろうか。
「むしろ、若い客のノリが苦手です。キャバクラで働いていた時、イケイケな若者客ばかりなのが嫌だったんです。コンパと勘違いして下ネタを話す客に、一気飲みを強要してくる客……。
コロナ禍でもグラスの回し飲みをしている客もいてドン引きしました。それに比べると、スナックのオジサン客は紳士的。酔っ払って騒いだり暴言吐く人も少ないので」
話を聞いていると、マイさんのように「若い客が苦手でスナックで働いている」という女性は少なくないのだとか。
◆スナックのオジサン客は言動がわかりやすい
都内のスナックに勤務するアリサさん(仮名・23歳)がこう話す。
「新大久保にいそうなパリピ系の若い男の子が苦手なんです。見た目は大人しそうなK-POPふうなのに、中身はチャラいみたいな。
スナックのオジサンは見た目と中身が一致しているのでわかりやすいんですよね。見た目がイケイケな人は中身もチャラいし、見た目が真面目な人は中身もちゃんとしてるので接客しやすいんですよね」
また、「キャバクラに来る若い客はヤリモクっぽくて苦手」とアリサさんは続ける。たしかに、オジサン客は変な駆け引きをしたりせず、言動がストレートだと筆者も思う。
◆「キャバクラでは働きたくない」どちらかと言えばスナック
都内のスナックに勤めるユイさん(仮名・20歳)も「キャバクラでは働きたくない」理由をこのように語る。
「お金もいいし、学生のうちに働くのはいいと思うのですが、水商売に染まるのが嫌なんですよね。金銭感覚もそうですが、服装やバッグなどで“いかにも夜やっている感”を出したくないんです。夜働いていることがバレたら就活のときに不利になるし、私のまわりでも学生時代のうちにサクッとスナックで働いてやめる子が多いです」
◆水商売感が少なく、気軽なアルバイト感覚
筆者が20代の頃は雑誌『小悪魔ageha』全盛期で学生や昼職の女性までもキャバ嬢のファッションやヘアスタイルを真似していた。だが、今の若い女性にとって、キャバ嬢らしいファッションは受け付けられないのかもしれない。「ドレスやヘアメイクにお金がかかることもネック」とユイさんは続ける。
若い女性の意見を聞いてみると「キャバクラでは働きたくない」ことから、どちらかと言えばスナックを選んでいるように思える。同時に「水商売感が少なく気軽に働くことができるアルバイト」がスナックなのかもしれない。