中高年、ススキノ離れ コロナ警戒、接待や飲み会自粛 スナック、タクシー苦境
道内最大の繁華街、札幌市中央区のススキノ地区から中高年の客足が遠のいている。
同地区の飲食店で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が相次ぎ発生し、感染を警戒して飲み会などを控えているとみられる。
中高年層を主な顧客としてきたスナックやタクシー運転手は頭を抱える。一方、若者の姿は多く、生き残りに向けて若者客を取り込もうとする飲食店も出始めている。
1日夜のススキノ交差点。行き交う人の中にスーツ姿の中高年はほとんど見えない。呼び込みをしていた居酒屋の女性従業員は「平日は特に中高年の会社員が減った」とこぼす。
豊平区の40代の男性会社員は「コロナ禍前は接待でススキノに来ることが多かったが、今は大通周辺が中心。(国道)36号は越えられない」と話す。
9月に市内で確認されたクラスター7件のうち4件は、同地区のバーや接待を伴う飲食店。
すすきの観光協会によると、宴会を自粛する企業が多く、客席100人以上の大規模飲食店を中心に売り上げが激減している。テナント料や人件費が重くのしかかり、休廃業する店も目立つという。
客の多くが50〜60代というスナックの女性経営者(64)は「いくら感染対策をしても、お客さんは帰ってこない」とため息をつく。
宴会が減った影響で2次会の利用も減り、7〜9月の売り上げは前年同期の3分の1。生ビールやお通しを廃棄することも多く、「瓶ビールや乾き物に変えようか迷っている」という。
国道36号沿いで客待ちしていたタクシー運転手の男性(62)は「中高年がめっきり減った。若い人は終電で帰るので稼げない」と嘆く。
コロナ禍前は一晩で平均20組いた客も、最近は10組程度。少ないサラリーマン客も夜の早い時間に帰るため、深夜料金で稼げないという。男性は「この状態が続けば転職を考えざるを得ない」と話す。
一方、居酒屋「北の餃子酒場 上々」は8月から、若者に人気の写真共有アプリ「インスタグラム」で写真映えするメニューを発信。
サラリーマンに代わって若い女性客が増えたといい、担当者は「今来れる人を呼び込んで、リピーターを増やしたい」と話す。