iOS版「フォートナイト」は裁判終了まで利用不可とAppleが通告、プロセスは5年に及ぶ可能性
2021年9月22日、ゲーム「フォートナイト」を開発するEpic Gamesのティム・スウィーニーCEOが「Appleから『すべての裁判が終了するまでフォートナイトをブラックリスト入りにする』という通告を受けた」と報告しました。
AppleとEpic GamesはiOS版フォートナイトでの支払方式を巡り、1年以上にわたって法廷闘争を繰り広げています。
2020年8月、Epic GamesはiOS版フォートナイトに独自の支払方式「EPICディレクトペイメント」を導入。
この支払方式は通常すべてのiOSアプリに対しAppleが課している手数料の徴収を回避し、その分をユーザーに還元するという仕組みになっていました。
しかし、AppleはApp Storeを経由しないアプリ内支払いを認めない方針であるため、EPICディレクトペイメントの導入は規約違反であるとしてApp Storeからフォートナイトを削除。
これに対してEpic Gamesが「公正な競争」を求めてAppleを提訴しました。
1年以上にわたり法廷闘争が繰り広げられていましたが、2021年9月10日、ついに一審判決が下りました。
担当裁判官のイボンヌ・ゴンザレス・ロジャース氏は、Appleに対しアプリ開発者にApp Storeを経由しない支払方式を導入する権利を与えるよう命令。
一方Epic Gamesに対しては「規約違反の支払方式を実装した点についてはEpic Games側に非がある」として、本来Epic GamesからAppleに支払われるはずだった売上の30%(350万ドル、約3億8000万円)を損害賠償金としてAppleに支払うよう命じました。Epic Gamesはこれを不服として控訴しています。
今回スウィーニー氏が報告したところによると、AppleはEpic Gamesに対し「Epic Gamesは意図的な契約違反とAppleの信頼の失墜を犯した。裁判所の判決やEpic Gamesの行動を考慮して、Epic Gamesの開発者アカウントを復活させないという裁量権を行使した」と通告したとのこと。
また、この措置は裁判終了まで続くとも述べられており、スウィーニー氏は「裁判が終わるまで5年はかかる可能性がある」としています。
スウィーニー氏は「Appleは世界中の裁判所や報道機関に対し『他の企業と同じルールでプレイすることに同意するなら、Epic Gamesの復帰を歓迎する』と伝えてきており、Epic Gamesはこれに同意した」と述べていますが、それにもかかわらずAppleが今回のような通告を行ったことについて「Appleはうそをついた」と非難しています。
スウィーニー氏はまた「Appleの措置は、Epic Gamesに上訴しないように圧力をかけたものとも読み取れる」「今やAppleは10億人を超えるユーザーを独占する力を再び乱用している」として、引き続きAppleと闘っていく姿勢を見せています。