「母参観に来ない」山上容疑者 旧統一教会絡みで鑑定医に不満漏らす 安倍元首相銃撃から5カ月
安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人容疑で送検され鑑定留置中の山上徹也容疑者(42)が「母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の用事に行って授業参観に来なかった」などと、精神鑑定の担当医に少年期の不満を漏らしていることが7日、関係者への取材で分かった。
担当医はこうした事情を確認するため留置期間を延長し、鑑定を続けているとみられる。
事件は8日で発生から5カ月。担当医は山上容疑者の成育歴や生活状況などを詳細に記した鑑定書を奈良地検に提出する必要があるが、山上容疑者が一方的に教団と母親の行動を関連づけて説明している可能性もあり、慎重に事実関係を精査しているもようだ。
鑑定留置は当初、11月29日まで約4カ月の予定だったが、担当医の申し出を受けた奈良地検は同月17日、期間延長を申請。奈良簡裁が来年2月6日までの延長を決定した。
だが弁護側が決定を不服とする準抗告を奈良地裁に申し立て、地裁は簡裁の決定を取り消し期限を1月10日までとした。
親族によると、母親は山上容疑者が小学生だった1991年ごろ教団に入会。直後から数年で約1億円を献金したことで家庭は困窮し、2002年には自己破産するに至った。
容疑者は05年に自殺未遂をした際、教団が原因で家庭が崩壊したことを苦にしたと当時勤務していた海上自衛隊に説明したという。
19年に開設したツイッターには「憎むのは統一教会だ」などと教団への怒りをあらわにしていた。
逮捕後の調べには「多額の寄付で家庭が崩壊した。(教団を韓国から)招き入れたのが岸信介元首相。だから(孫の)安倍氏を殺した」と供述。
ただ教団への恨みが安倍氏殺害計画に転じた経緯は明確ではなく、地検は鑑定留置を請求した。