栽培者から入手、自ら試して「格付け」…「質高い大麻を高値で販売」と知られる元ホストら逮捕
密売目的で大麻を所持していたとして、九州厚生局麻薬取締部と福岡県警が、元ホストらのグループを大麻取締法違反(営利目的所持)などの疑いで逮捕していたことが、捜査関係者への取材でわかった。
元ホストの男らは、栽培者に送らせた大麻を自ら使って幻覚成分の度合いなどに応じて「格付け」し、格付けに基づいた値段で買い取って転売していたとみられる。
同法違反で逮捕、起訴されたのは、元ホストで作業員の男(31)(名古屋市中区)、元ホストで無職の男(33)(金沢市駅西本町)ら3被告。起訴状によると、3被告は今年1〜2月、名古屋市内や金沢市内で、乾燥大麻や液体大麻を所持したなどとされる。
福岡県警などが昨年7〜10月に摘発した大麻栽培集団のメンバーの供述などから、作業員の男らのグループが品質に応じた値段で買い取るため、この集団に大麻や大麻の写真を事前に送らせていた疑いが浮上。3被告は今年1〜2月に逮捕された。無職の男は3月の初公判で起訴事実を認め、他の2被告も大筋で容疑を認めているという。
捜査関係者によると、作業員の男らは、名古屋市の元ホストらでつくるグループの一員として大麻を密売。グループは質の高い大麻を高値で密売していることで栽培者の間で知られており、栽培者から大麻を買い取るのに先立ち、少量の大麻や大麻の写真を送らせるなどしていた。
作業員の男はこれらの大麻を自分で使って、効き目や香りの良しあしを確かめる「テスター」役だったとみられる。
「A+」「A」「B+」など少なくとも5段階のランクで評価。評価に応じた値段でグループが大麻を買い取り、代金は暗号資産(仮想通貨)で支払っていた。
買い取った大麻は、ランクが上がるごとに、1グラムあたり数千円を上乗せして、ツイッターを通じて転売。使用していたツイッターのアカウント登録者は、客ら少なくとも350人が確認された。
作業員の男の自宅などの捜索では、乾燥大麻や、大麻とバターを混ぜた「大麻バター」、大麻バターが材料の「大麻サブレ」などが押収された。バターやサブレは食べて大麻成分を摂取するためのもので、作業員の男らが作ったとみられる。
グループ内の連絡には送受信したメッセージが完全消去されるSNS「ウィッカー」や個人情報の登録が不要な通話アプリ「スカイフォン」を利用し、主にオランダのサーバーが経由されていた。
オランダでは大麻は合法化されており、捜査当局は、グループがオランダにいる人物を通じて、大麻種子のほか、栽培に使う器具を入手し、インターネットで販売していたとみている。