新宿・歌舞伎町 売春「ネットカフェ」潜入ルポ
「今から歌舞伎町の『グランカスタマ』で会えませんか?」
最近、ツイッター上にこういった書き込みが頻繁に投稿されている。決まって添えられているのは、「P活」や「大人2」などの隠語だ。
P活はいわゆるパパ活のことで、大人2は「本番行為2万円」という意味である。春を売る女性たちが、ツイッターで客を募集しているのだ。
『グランカスタマ』は全席鍵付きの完全個室の高級ネットカフェで、シャワーや大浴場まで完備しており人気を集めている。
上野など首都圏に4店舗を展開しているが、売春行為が繰り返されているのは、『グランカスタマ歌舞伎町店』だ。
5月某日の夕方5時頃、筆者は歌舞伎町店を訪れた。最上階の5階から各階を探索すると、どの階も、扉が並ぶ狭い廊下が迷路のように入り組んでいる。
そんなラビリンスのような店内で、数人の若い女性とすれ違った。個室から出てまた別の個室へと入っていくという、不審な動きをする女性もいた。
実際にグランカスタマで売春をしているミサ(仮名・19)が、システムを解説してくれた。
「女の子は自分で部屋を取って待機してて、ツイッターや出会い系サイトで客を募集する。DMが来たら、伝票の部屋番号を写メで送ってもらって、こちらが客の部屋に行く。入室後にお金をもらって、プレイする感じですね。私は半年くらい、ほぼ毎日ここにいる。客は1日5〜6人くらい。10人以上のときもあるかな」
「ゴムあり2万円」で本番行為をしているミサの1日の収入は、10万円以上になる。しかし彼女は、「食費を浮かせるために地下スペースの無料サービスのカレーしか食べてない」という。
「私、ホス狂いだから(笑)。昼から夜8時くらいまでここにいて、稼いだお金を持って毎晩、歌舞伎町のホストクラブに通ってる。朝ここに帰ってきて昼まで寝て、またホスト行くまでウリやってる」
グランカスタマを選ぶのはなぜなのか。
「回転率が一番の理由。ホテルだと、待ち合わせしてチェックインしてシャワー浴びて……って、一人の客に1時間以上はかかる。ここだとみんな20分くらいで終わるし、移動の手間もない。あと、ヤバい客に当たってもドア開けて叫べば助けが来るだろうし。客の部屋への出入りをスタッフに何度も見られてるから、怪しまれてるはずだけど、何も言われたことはないよ。喘(あえ)ぎ声がうるさ過ぎて他の客がブチ切れて、店員が対応しているのを見たことはあるけど(笑)」
そんなミサの気がかりは「商売敵(がたき)」の増加だ。
「同じことしてる女の子はいつも4〜5人はいる。最近多いのが、トー横キッズ。警察の取り締まりがあってから、ビジホから流れて来てるみたい。この辺だと、夜中に18歳未満が入れる完全個室のネカフェってあまりないけど、ここは身分証を求められたこともないし。明らかに未成年の女の子が廊下を行き来してる。若い子増えるとお客取られるからイヤなんだけど……」
彼女の言う取り締まりとは、新宿区と警視庁が4月21日に行った、歌舞伎町周辺の宿泊施設への立ち入り検査のことだ。
家出して歌舞伎町に集まる未成年者らのグループが宿泊や援助交際に使用しているとされるホテルなどに、宿泊者の年齢確認の徹底を呼び掛けた。
筆者は、店舗内で売春行為が行われていることに関し、グランカスタマを運営する株式会社シリウスに取材を行ったが、広報担当者からの返答は「弊社としては回答を控えたい」というものだった。
加藤・浅川法律事務所の加藤博太郎弁護士が指摘する。
「相手が売春を行うと知って場所を提供することは売春防止法違反となり、3年以下の懲役または10万円以下の罰金、反復的に提供した場合には、7年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処されます。『自由恋愛』として黙認されてきたソープランドも最近になって摘発されているので、警察が動く可能性はあります」
ネットカフェで売春が繰り返されている現状を放置してはならない。