「ハウル」逮捕でも変わらぬ「トー横」の隆盛“独占”されていたカリスマ性をめぐり権力闘争が勃発
「あんなことがあったので、数日くらいは『トー横』でたむろする若者が、減ると思っていたのですが……」と苦笑するのは、新宿区歌舞伎町の商店主らで構成される「歌舞伎町商店街振興組合」の役員だ。
「トー横」の名称で知られる、新宿東方ビル周辺でボランティア活動などをしていた「ハウル」こと小川雅朝容疑者(32)が6月22日、少女にみだらな行為をおこなったとして逮捕された。
それから最初の週末となった6月25日、26日の両日、トー横周辺で座り込んで談笑するグループは、むしろ増加したのだという。
「25日の深夜0時ごろがピークでした。20グループはいたと思います。隣接する大型クラブへの入場待ちの行列が50人程度はいたので、トータルの人数でいうと、数百人はくだらない。酔った勢いのグループ同士で喧嘩もあったようで、複数回、警察官の出動もありました」
小川容疑者の逮捕で、ボランティア団体が続けてきた食事の支給は中止になった。広場にたむろしていた別グループのリーダーを名乗る男性が、逮捕前の小川容疑者について語る。
「ここは公の場所なのに、この数カ月はハウルらが独占していて、ほかのグループを排除していました。実態はひどいもので、食事支給もせいぜい十数人分しか用意がなく、30分程度で配り終わってからは、何もせず、車座になって話していただけだったんですよ」
それでも、有名人のハウルに会うためにグループを訪ねてくる人は、どんどん増えていた。小川容疑者は、その中から自分好みの少年や少女を選んでメンバーにしたというが、その総数は200人を超えていたという。
「ハウルたちは人数にものを言わせて、少数のグループを取り囲んでは、薬物をやっているとか、売春をしているなどと因縁めいたことを言って、無理やり移動させていたんですよ。それでも動じないグループには、歌舞伎町にある実在の暴力団の関係者とされる人物の実名を出して、自分の『ケツ持ち』だ、と脅したりしていました」
本誌は、小川容疑者が名前を出した人物に連絡を取った。小川容疑者について聞くと、こんな答えが返ってきた。
「ハウルのことは知っている。共通の知人のツテで、何回か話したし、メンバーも紹介された。でも、(自分のことを)ケツ持ちとか言っていたのは知らなかった。自分は、歌舞伎町でいくつかのイベントのオーガナイザーをしているから、何かあれば協力しよう、と話をしただけ。そもそも、自分は暴力団とは関係ない」
前出の別グループのリーダーは、しばらくはこのようなトー横の混乱が続くだろうと語る。
「ハウルのグループはすでに散り散りです。最近、代表を名乗るメンバーが解散宣言をしましたが、自分の後継組織にメンバーを移したいだけ。そもそも、ハウルだって広場にたむろするだけの存在だったのに、『トー横のカリスマ』とメディアに持ち上げられたことで、広く知られる存在になってしまった。そんなハウルの後継者の座を、みんなが当然狙っています。そのためには、トー横に拠点が必要なんです」
トー横で始まる権力闘争に、若者たちが巻き込まれないといいが…。