「崖の上のポニョ」モデルとされる歴史的景勝地「鞆の浦」トンネル開通 賛否割れた架橋撤回経て
歴史的な景勝地の広島県福山市の「鞆(とも)の浦」に橋を架ける方針が撤回された後、山側につくられた県の「鞆未来トンネル」(全長約2・1キロ)が30日、開通した。当初の架橋計画は住民の賛否が割れ、景観保護の観点から差し止めを命じる司法判断が出た経緯がある。
鞆の浦は映画「崖の上のポニョ」の舞台のモデルとされる。昔ながらの家屋が並ぶが、中心部の県道は住民や観光客が行き交い、車が日常的に渋滞する。トンネル開通で、県は中心部の交通量が最大6分の1に減ると試算する。
湯崎英彦知事は開通記念式典で「感慨深い。開通によって町中を通過する交通が減少し、生活道路として利用する住民の安全性が確保される」と強調した。
県は1983年、港の一部を埋め立てて橋を架ける計画を策定。景観保護を主張する反対派が提訴した。広島地裁が2009年、「景観利益」を理由に差し止めを命じた。県は計画を撤回し、22年にトンネル本体の工事が始まった。