現場そばの店から嘆きの声「県から休業補償のお話はありません」 埼玉・八潮の陥没事故から2カ月…見つからない74歳運転手と戻らない日常【現在の写真】
煌々と照らすライトで、大量のセメントを貯蔵するサイロや何台ものダンプカー、重機が浮かび、夜中であっても作業が続けられている。
1月28日に陥没事故が発生した埼玉県八潮市の県道交差点の、現在の様子である(3月22日撮影)。
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事故からすでに2カ月がたつが、落ちたトラックに乗っていた男性(74)はいまだ見つかっていない。
埼玉県によれば、目下捜索の準備を進めているという。
「現場から30メートル下流にトラックのキャビンが確認され、そこにアクセスするため、現在、上流と真上の2方面からの掘削を進める作業を行っています」(県広報)
しかし、トラックのキャビンがとどまるのは直径約5メートルの下水管の中で、通常ならば四六時中、汚水が流れているところである。
現在は排水ポンプによる仮のバイパスで対応しているものの、崩落などの二次被害を避けてアクセスするためには、地盤の改良や本格的なバイパス工事など、行うべき作業があまりに多い。
「現在、新たなバイパス工事を行っており、それが5月半ばに終了予定です。運転手さんの捜索はその後になりますが、方針の詳細はまだ決まっていません」(同)
そして決まっていないのは、大工事現場と化した穴周辺に暮らす人々の日常の回復も同様である。
2月19日に住民の避難は解除され、下水道の利用も通常に復したとはいえ、周辺の店は先の見えない臨時休業を余儀なくされている。
現場に最も近く、看板も穴に落ちた外食チェーン「和食麺処サガミ」の担当者によると、「とても営業できる状況ではありません。県から休業補償などのお話はありませんが、被害を算出し、どこかの段階で求めていこうと思っています」が、県もまた先が見えず、「まだ検討段階で……」(県広報)と、言葉を濁すしかない。
老朽化の傷みが目立つ国土に空いた穴。最初は小さくともそれはどんどんと広がり、人々の暮らしをものみ込みつつあるのである。
撮影・本田武士
「週刊新潮」2025年4月3日号 掲載