12月なのに…冬眠しないクマ 雪、気温は関係なくエサ確保の問題か
長野県野沢温泉村豊郷で4日午前6時半ごろ、除雪作業中の自営業の男性(78)がクマに襲われ顔や足を負傷した。飯山署によると、近所の住人が駐在所に知らせて通報。搬送時に意識はあったという。
野沢温泉村には3日夜、大雪警報が発表され、4日朝は積雪量が増していた。男性が自宅近くで雪かきしていると、クマが突然現れた。現場は民宿や飲食店がある温泉街の付近で、観光客やスキー・スノーボード客も歩く場所。付近でクマの目撃情報が数件あったが、クマは山に戻っていったもよう。署や地元猟友会は、商店に自動ドアを使わないようにするなど警戒を呼びかけた。
この日、富山市では新聞配達中だった男性(75)と女性(70)がクマに襲われ、顔や手をケガ。島根県益田市でも、70代男性が自宅からごみ捨てに出たところを体長約1メートルのクマに襲われた。いずれも命に別条はないが、12月に入ってもクマの襲撃は後を絶たない。
通常12月になると、クマの出没件数は一気に減少する。山に果実や木の実がなくなり、食料不足で冬眠に入るためだ。ただ、長野県の森林づくり推進課鳥獣対策係は「12月に入ったから、雪が降ったから、気温が何度になったから、冬眠に入るとは思っていない。動物園のクマのように、継続的に一定量のエサが確保できれば冬眠しない個体もいると考えられる」と注意喚起。「雪が降る前に、あの場所に柿の木があった、あそこに生ごみがあったと学習したクマが現れることがある」と指摘した。
雪かきは朝方行うことが多いが「早朝は熊が出没しやすい時間帯」だといい、除雪用スコップなどを持っていても威嚇したりせず「襲ってきたら顔や首、腹部を守る防御姿勢を取るようにしてほしい」と呼びかけた。
