「失敗の本質」の野中郁次郎さん死去、89歳…一橋大名誉教授の経営学者
「失敗の本質」の著者の一人で、知識創造理論の生みの親として知られる経営学者で一橋大名誉教授の野中郁次郎(のなか・いくじろう)氏が25日、肺炎で死去した。89歳だった。告別式は近親者で行う。喪主は妻、幸子さん。
東京出身。早稲田大卒業後、民間企業に就職し、米カリフォルニア大バークレー校経営大学院修了。日米の企業を実践的に比較研究し、日本企業の強みは現場の知識やノウハウ「暗黙知」を基盤とする組織的な知識創造にあると洞察した。これをもとに提示した新しい理論は、経営学研究の世界的な潮流となった。
また、日本軍の作戦の失敗例からその組織的欠陥や特性をあぶり出し、現代的に解読した「失敗の本質」(共著)は、企業人らに広く読まれた。防衛大学校教授、一橋大教授などを歴任。2015年、日本学士院会員。著書に「組織と市場」「知識創造の経営」など。