「ほぼ奴隷契約に近い求人」…それでも風俗嬢の超危険な海外出稼ぎが横行する理由
本連載でも何度か取り上げた「海外出稼ぎ」。アメリカなど高額チップの文化がある国では、昨年から取り締まりが強化され、シンガポールや台湾など、アジア諸国に飛ぶ日本人が増加している。
実際に海外で勾留された、ビザを没収され軟禁状態で労働させられた、といった話は尽きない。
さらに「頼れる人間がいないので店のオーナーに色仕掛けをして生き残るしかなかった」、「稼ぎすぎて、店のスタッフに銃を突きつけられて全額強奪された」など、出稼ぎ経験者の口からは壮絶な話が飛び出す。
そんな中、「経済特区での超高額案件」「60分単価3万円」「保証1日15万円」などの言葉が並び、先月末から界隈を賑わせている出稼ぎ先がある。
東南アジア、タイの北側に位置するラオスだ。すでにSNS上では複数のアカウントが好待遇で、風俗嬢やホテルの清掃スタッフとして日本人を勧誘しているが、この出稼ぎ先には大きな落とし穴がある。
在ラオス日本国大使館が今年4月に公式サイトにアップした注意喚起によると、ボケオ県の経済特別区において、外国人を食い物とする求人詐欺が多発しているという。
高額な報酬等の好条件を提示してラオスに渡航させた後、実際には自由を拘束し、違法活動に従事させるというのだ。
このボケオ県の「金三角経済特区」は、中国政府がラオスより租借期間99年で借り受けた経済特区。現在はカジノを中心に栄えている。
使える紙幣は中国の人民元だ。外交問題に発展するため慎重にならざるを得ないうえ、治安当局による捜査能力が十分ではなく、外国人が危険な状況に陥った場合、その救出や解決は容易でない。
SNSの求人には「30日間の観光ビザ取得必須」「給料は帰国時に持ち帰り可能」とある。
観光ビザで不法就労をしたうえに、無事に働ききらないと給料ももらえない。とんだブラックな求人内容なのだが、単価の高さに目がくらむ人間もいる。
危険があると知りつつも、SNSを見れば海外出稼ぎによる高収入や、「神客」と呼ばれる富裕層にチップを貰い、優雅な暮らしを自慢する人々が後を絶たない。
「海外にはチップ文化がある」、「日本人の需要がある」といった理由で海外出稼ぎが流行っていた。グローバル化が進む昨今、性産業に限ってはインバウンドに目を向け、国内での稼ぎ方を考えられるかどうかが生き残る肝となるだろう。