石破新首相 前言撤回の「裏金議員斬り」…ウラに選対委員長・小泉進次郎のドライ≠ネ思惑
自民党の石破茂首相と小泉進次郎選対委員長が鬼モード≠ノ突入した。
石破首相は6日、衆院選(15日公示、27日投開票予定)で、派閥の政治資金パーティー裏金事件で不記載があった裏金議員の非公認や、比例重複立候補を認めない大ナタを振るう方針を明かし、選挙直前の党内に激震が走っている。
大ブレ内閣∞ウソつき首相≠ニ批判され、支持率の低下にもつながりかねない中で、石破首相が決断した。
裏金議員の公認や比例重複を原則認める考えから、この日「候補者が選挙区において、説明責任を果たし、退路を断って、有権者の審判に当落を委ねることにしたい」と厳格な措置を取る方針に転換したのだ。
党員資格停止中の下村博文元文科相、西村康稔元経産相のほか、役職停止処分中の萩生田光一元経産相、平沢勝栄元復興相らが非公認となる。
また不記載議員を公認した場合も比例代表への重複立候補を認めないことになり、その数は30人以上に上る見込みだ。
「党内では一事不再理で、一度処分が出ている議員に対し、非公認や比例重複を認めないのはおかしいとの声があって、公認する流れになりかけたが、野党や世論から厳しい声が出ていた。衆院選を戦えないとなって、方針転換せざるを得なかったのでしょう。旧安倍派を中心に『安倍派潰し』と反発を食らっているが、このまま選挙に突入です」(自民党関係者)
石破首相は党四役との会合を重ねており、裏金議員に対して厳しい目を向けていた小泉氏の考えも強く反映されたようだ。
この日、衆院東京15区から立候補を予定しているNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏の応援に駆け付けた小泉氏は「自民党議員が向き合わないといけないのは、政治とカネの問題。
この選挙でこの問題に決着をつけ、本当に自民党が自らに鋭いメスを入れたから、それでも失った信頼を築き上げるという覚悟を持って、国民の皆さんと向き合う選挙にしなければならない。これだけは言えます。(新人の)大空さんは政治とカネに対する厳しい指摘は全く関係ありません」と話していた。
非公認となる議員はベテランの重鎮が多く地盤が強いとあって影響は少ないとみられるが、背筋が寒くなっているのは、比例重複が認められなくなる地盤が弱い候補者たちだ。
「ただでさえ、裏金議員は名前は広く知られているので、逆風にさらされています。加えて、立憲の野田佳彦代表が裏金議員の選挙区での野党候補者の一本化を呼びかけており、実現すれば小選挙区での勝ち上がりはもはや至難の業。比例重複禁止となれば死刑判決を受けるようなもの」(同)
公明党も自民党の対応をみた上で、推薦を出さない可能性を明かしている。「進次郎氏がドライな対応をしそうですね。本来、選対委員長の立場であれば、厳しい選挙区を中心に応援回りすることになるが、たとえ公認が出たとしても裏金議員の選挙区はスルーして、政治とカネの問題にまみれていない新人候補を中心に新規開拓に励むことになるのでは」(自民党議員秘書)
石破首相は盟友関係にある教育無償化を実現する会の前原誠司代表に就任あいさつした際に「石破カラーをちゃんと出してください」と声をかけられ、「出すと国民は喜ぶ、党内は怒る」と本音を漏らしていたが、ようやく党内を敵に回しても世論を取った格好で、自らの首をつなげたことになる。