民家の庭に廃棄物269トン、流山市が3123万円投じ撤去…一般家庭から出された家具や家電などを無許可で収集
千葉県流山市は2023年5〜6月の行政代執行で、約3123万円を投じて同市美原の民家から廃棄物を撤去した。
その後、市が土地所有者らから回収できたのは約27万円。大半は市民が税金を通じて負担した形になっている。市は支払いを求めているが、回収の見込みはたっていない。(新妻千秋)
この民家では、土地所有者の関係者が運営する会社が、一般家庭から出された家具や家電などの廃棄物を無許可で収集し、庭に積んでいた。市は周辺環境の悪化を理由に撤去命令を出したが、従わなかったため、撤去の代執行に踏み切った。
撤去した一般廃棄物は269トンで、撤去料は約3084万円に上る。冷蔵庫や洗濯機などの家電は63台で、約39万円を費やした。
市は撤去費用を市に納付するよう土地所有者ら2人と同社に命じた。土地所有者らが一括納付は困難としたため、5年間での分割納付を認めた。
しかし、土地所有者らはその後、連絡も取れなくなった。このため市は、24年7月に預金を差し押さえるなどしたが、27万5000円の回収にとどまっている。
不法投棄された産廃や、いわゆるゴミ屋敷の廃棄物を撤去する行政代執行では、費用の回収に苦慮する自治体が多い。原因者の財産不足や生活困窮などで回収を断念した自治体もある。