“頂き女子りりちゃん”題材の映画制作決定 獄中の本人とも対話・当事者達の視点で描く
株式会社オパルスは「りりちゃん」こと渡邊真衣氏と「頂き女子」に関する事件を題材にした映画「頂き女子」の制作を決定。この度、予告編と撮影風景が公開された。
歌舞伎町から日本中に広がった“頂き女子りりちゃん”こと渡邊氏の事件を、獄中の渡邊氏本人との数多の面会、手紙の交換によって行われた綿密な取材の元、エピソードや演出、演技のディティールを再構成したナラティブ・フィクション作品として映画化。プロデューサーは、渡邊氏のために情状証人として出廷した、身元引受人である立花奈央子氏。新宿で15年間コンテンツ制作事業を営む中で逮捕前の渡邊氏と出会い、その生き方と言葉を作品にすることを2人の間で決めていた。
主人公りりちゃん役は月街えい(LADYBABY) 。アイドルデビュー前から表現活動に勤しんでおり、ZINEで短歌や詩を発表。現在はX(旧Twitter)で手書き日記「口語自由日記」をアップするなど、優れた言語感覚を持っている。渡邊氏と表裏一体にもなり得るパーソナリティを見出され、初主演への抜擢となった。
監督はギャラクシー賞を受賞した「スカム」(MBS/2019年)、TVerランキング1位を獲得した「ホームルーム」(MBS/2020年)などの作品を手掛けた小林勇貴監督で、2年ぶりの復帰作。目を背けたくなるような暴力を真正面から捉え続ける胆力と、現代日本の社会構造への強い問題意識を買っての依頼と立花氏はコメントしたが、最初から直感だったという。
「頂き女子」は今でこそ明確な詐欺だと広く知れ渡っているが、当時は新しい稼ぎ方としてSNSと情報商材を中心に流行し、ホストバブル拡大の一端を担い、歌舞伎町のお金の流れを大きく変えた。自分の大切な存在に持てるものを注ぎ込む<推し活>と呼ばれる行為の連鎖が、ある業界のバブルを招き業態を歪めていく様は、夜の街だけではなく、孤独に端を発した現代日本全体の縮図なのではないか。
この事件によって現れたもの、社会現象として表面化したこと、そして、表面化せずに今も日本のあちこちに息づいているもの。それらについて、映画を通して垣間見て、少しだけ理解のできるような作品を目指す。りりちゃんの映画化は逮捕前から計画されていたというが、事件により世間を大きく騒がせることとなった今こそ、商業資本ではなく歌舞伎町を知る当事者達の手で映画化したいという思いから、獄中の本人とも対話を重ね、実際のエピソードやその時のリアルな心情をもとに、渦中の人間達の確かな視点で映像化されることとなった。
立花氏は「映像化に際し、犯罪行為を美化したり犯罪者をまつりあげる意図はありません。事件の背景と構造を読み解き、作品を通して広く知ってもらうことが、類似事件の防止や、社会問題の認知・改善に繋がると考えています」とコメントを寄せた。