太地町で「イルカ追い込み漁」解禁 「極めて残酷」と環境団体
世界的に物議を醸しているイルカの追い込み漁が、太平洋に臨む和歌山県太地町で1日、解禁された。イルカ漁は、約半年間続く予定。
日本メディアは、1日に解禁されたイルカ漁では、1頭も捕獲されず、漁船が港に戻ってきたと報じた。
一方、環境保護団体「ドルフィン・プロジェクト」によると、2日、ハナゴンドウ5頭が殺されたという。
今年のイルカ漁における総捕獲枠の割り当ては、1700頭を超える。
日本は今年、国際的批判を押し切り、商業捕鯨も再開した。
追い込み漁では、イルカを入り江に追い込み、浅瀬でほとんどを、食肉用にナイフで解体する。そのほかのイルカは、水族館や海洋公園などに売る。
数十年にわたり続いている太地町でのイルカ漁は、2009年公開のドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」で描かれ、世界的な注目を集めた。
この映画は、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞している。
環境保護活動家は、追い込み漁は極めて残酷であり、イルカは窒息するか溺れて死ぬまで、長ければ30分苦しむと訴えている。
一方、太地町の漁師は、この地域での生活は、イルカの取引にかかっていると主張している。
イルカ肉と鯨肉の需要は、ここ数年で減少傾向にある。どちらにも、人体に有害なレベルの水銀が含まれていることが分かっている。
海洋公園などへの売値は、食用よりもはるかに高額だが、太地町で捕獲されたイルカを購入しないよう、圧力が高まっている。
日本はすでに、クジラ漁の国際的な取り決めをつくる国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、商業捕鯨を再開したことで、批判にさらされている。
商業捕鯨が再開された7月1日には、クジラが水揚げされ、食用に解体された。
IWCの全加盟国は1986年、クジラの個体数の回復を目的に、一定期間の捕鯨禁止で合意した。
しかし日本は、これまで完全に捕鯨を止めたことはなく、調査名目で、年間数百頭を殺してきた。