ニセ医者「治療で息子さんの声変わった」…疑うより心配させる新手の詐欺が急増
医師をかたって高齢者をだます特殊詐欺が相次いでいる。「のどの治療で息子さんの声はガラガラになっている」。
そんな電話に続き、息子役がトラブルに巻き込まれたと助けを求めてくる。被害者は声の違いを疑うよりも心配が勝り、要求に応じてしまうという。各地の警察は新たな手口に注意を呼びかけている。
「息子さんが吐血した。麻酔で声が変わっている」。6月7日、盛岡市の80歳代女性に医師を装った男から電話がかかってきた。
その後、息子や会社の同僚をかたる男らから「病院で財布をなくした」「車の購入に900万円が必要」と電話があり、女性は現金約600万円をだまし取られた。
岩手県警によると、同じ手口の詐欺の相談は4月以降に急増。6月18日に被害に遭いかけた別の80歳代女性は、息子役の男に「数千万円が必要」と言われ、あまりの金額に詐欺だと気づいて電話を切った。
ただ、「ニセ医者から電話を受けた時は息子が心配になり、『声が変わった』という話を信じてしまった」という。
被害は全国でも広がっている。5月には水戸市の高齢女性が「息子さんに喉頭がんの疑いがある」との電話に動揺し、1000万円をだまし取られた。山形県小国町でも高齢女性が200万円の被害に遭った。
岐阜県警は実際に起きた事件の電話音声をユーチューブの公式チャンネルで公開している。
ニセ医師が「息子さんは危険な病気」「血縁者に咽頭がんになった人はいるか?」と不安をあおり、高齢女性を巧妙に信じ込ませていく流れを聞くことができる。