知床事故、船首側ハッチから浸水し沈没か…運輸安全委員会が来週中にも調査内容公表へ
北海道・知床半島沖で今年4月に起きた観光船「KAZU I(カズワン)」(乗客乗員26人)の事故で、運輸安全委員会が、船倉への出入り口となる船首側のハッチが閉まっておらず、船倉に海水が入り込み沈没した可能性が高いとみていることが、関係者への取材でわかった。
運輸安全委員会は来週中にも、こうした調査内容を公表する方向で調整している。
関係者によると、船首のハッチは本来、密閉するカバーが付いている。
しかし、事故後に沈没地点付近の海底でカバーが見つかっており、閉まっていなかったカバーが、航行中に外れた可能性があるという。
事故当時、カズワンからは「船首浸水、沈んでいる。エンジン使えない」との118番通報があった。
運輸安全委員会は、ハッチから船首下部の船倉に海水が流れ込んだとみている。
カズワンの甲板の下は、船倉のほか、エンジンがある「機関室」、 舵かじ を動かす機械がある「 舵機だき 室」など4区画に分かれている。
各区画は隔壁で仕切られているが、沈没後に船体を引き揚げ調べたところ、隔壁3枚に穴が開けられていた。
運輸安全委員会は、この穴を通り船倉から入った海水が機関室などにも広がったとみている。
事故では、船長を含む20人の死亡を確認、6人が行方不明となっており、海上保安庁が業務上過失致死容疑で捜査を続けている。
国土交通省が設置した事故対策検討委員会は、今月中に再発防止策を取りまとめる予定で、運輸安全委員会の調査内容を対策に反映することを検討する。