黒人男性を暴行死、殺人罪の米テネシーの街頭犯罪部隊解散 「警察にはびこる文化が問題」指摘
米南部テネシー州メンフィス市の警察は28日、黒人男性に暴行を加えて死亡させたとして、殺人罪などで起訴された黒人警官5人=免職=が所属していた街頭犯罪対策部隊を解散させた。
市当局が前日に公開した映像には、抵抗できない男性を警棒や拳で殴る様子が映っており、警察への批判が高まっている。
「お母さん!」。被害者のタイリー・ニコルズさん(29)は7日夜、市内の路上で助けを求め、叫んでいた。
公開映像では数人の警官が地面に押さえつけた後、無理やり立たせたように見える。
両脇を抱えられ、ニコルズさんは何度も殴られ、膝から崩れ落ちるように倒れた。
ニコルズさんは3日後に死亡した。車両を停止させた後の職務質問のはずだったが「何もしてないじゃないか」と訴えるニコルズさんを運転席から引きずり出す映像もあった。
5人は20日に免職処分を受け、26日に州の大陪審に起訴された。
5人が所属していたのは2021年に発足した犯罪多発地域で警戒に当たる部隊。遺族の弁護士は「過去にも暴力的な行為があった」と解散を求めていた。
警察は28日の声明で「数人の悪質な行為が部隊の名誉に影を落とした」と解散を発表し、信頼回復に努めると表明した。
加害者の警官も黒人だが、遺族の弁護士は米メディアに「黒人らには過剰な実力行使をして構わないという警察にはびこる文化が問題だ」と指摘している。