解決まで1年かかるかも…卵、深刻な供給不足 外食大打撃
新年度の4月から、バター、マヨネーズなど、生活必需品のさらなる値上げが発表される中、「物価の優等生」と言われる鶏卵も価格上昇が続いている。
JA全農たまごによると、1キロ当たりの卸売価格(東京地区、Mサイズ基準値)が、1月は280円、2月は327円だったが、今月は26日までの平均価格が341円に高騰。統計が公表されている1993年以降で過去最高となった。
「物価の優等生」に何が起きているのか。背景には高病原性鳥インフルエンザの大流行がある。
農林水産省によると、昨年10月に今シーズン1例目の感染が確認されて以降、今月24日までに26道県で81事例が発生。
これまで最多だった2020年11月〜21年3月シーズンに計約987万羽を大きく上回る、約1645万羽が殺処分の対象となった。
うち約1528万羽が採卵鶏で、鶏卵は深刻な供給不足に陥っている。
大手外食チェーンからは卵関連メニューが消えている。日本マクドナルドはハンバーガー「てりたま」シリーズなどの販売を店舗や時間帯によって一時休止。バーミヤンは天津飯の提供をやめた。
影響は土産物にも及んでおり、福岡の定番の逸品「博多通りもん」(明月堂)は通販が休止になった。
個人経営の飲食店も事態は深刻だ。巨大オムレツ(税込み400円)が看板メニューの東京・板橋の居酒屋「花門」のコルドバッチェ・マンスールさん(59)は、これまで1日約150個の鶏卵を仕入れていたが、現在確保できるのは約80個という。
巨大オムレツは卵12個を使用していたが、現在は10個でやりくり。「この状況が続けば営業日を週3日に減らす考えもある」とため息をついた。
通常、ひなが生まれてから安定的に卵を産むようになるまで半年ほどかかるとされる。
野村哲郎農相は「すぐに解決する話ではない。供給安定まで半年、あるいは1年近くかかるのかもしれない」との見方を示している。しばらくは卵不足は解消されず、影響が広がりそうだ。