大麻入り菓子、ネットで密輸…男「興味本位で」
大麻成分が混ぜ込まれた菓子をインターネットを通じて密輸し、摘発されるケースが全国で相次いでいる。奈良県内でも昨年12月、初めて大麻成分入りの菓子を密輸したとして男(28)が逮捕された。大麻の違法性や危険性が十分認識されておらず、奈良県警組織犯罪対策課は「好奇心からネットなどで安易に手を出すなど、大麻に対する抵抗感が薄れている」と警戒を強めている。
奈良県警によると、昨年8月31日、大麻成分が入ったスナック菓子を輸入しようとしたとして、大和高田市内の会社員の男が大麻取締法違反(輸入)容疑で12月10日に逮捕された。
大麻成分入りの「製品」と理解した上で、インターネットで注文。米国から国際郵便で発送されたスナック菓子の袋が東京・羽田空港の税関で見つかって発覚した。男は「興味本位で大麻が入った菓子を輸入してしまった」と容疑を認めているという。大麻成分入りの菓子の密輸の摘発は県内初だった。
昨年10月には神戸税関が、大麻成分入りのブラウニー(約72グラム)とスナック菓子(約33グラム)を1袋ずつ米国から羽田空港に密輸した事件を摘発したと発表。9月には、沖縄地区税関が羽田空港の通関検査で大麻が混ぜ込まれた食品(約126グラム)の密輸を取り締まり、水際で食い止めたと発表した。
財務省関税局調査課によると、2017年の大麻密輸形態の中で国際郵便は全体の約6割を占め、最も多い手口だ。同課の担当者は「小包など国際郵便を用いた手口は、商業貨物よりも手続きが簡単で送りやすいため、よく使われる」としている。
近畿厚生局麻薬取締部によると、米国の複数の州で医療目的での使用が認められているほか、大麻成分が含まれたチョコレートやグミ、ポップコーンなどが市販されている地域がある。また、カナダでは昨年10月、嗜好目的としての大麻の使用が合法化された。
担当者は、インターネットの普及で購入が容易になっている現状を挙げ、「菓子だから税関を通過できると思っている人がいるのではないか」と話す。大麻成分を混ぜ込んだ菓子は見た目では通常の菓子との判別がつきにくいため、海外では子どもが誤飲し、中毒死するケースも起きているという。
近畿厚生局麻薬取締部によると、大麻を煙で吸うのと、菓子などに加工して食べるのとでは、得られる効果が違うという。
葉巻状にして煙を吸うと、大麻成分が血中に取り込まれるため、すぐに脳に作用する。口から摂取した場合、大麻成分が腸から吸収されるため、効果が出るまで時間がかかるが、効果が長続きするという。
一方、警察庁のまとめでは、2017年の大麻の摘発者数は前年比472人増の3008人で過去最多だった。10〜30歳代の若年層の摘発が急増したためという。