ペット霊園が突如閉鎖…墓石撤去、遺骨も放置
大阪府枚方市杉北町のペット霊園が1月末に突如、閉園し、犬などの遺骨が放置されたままの状態になっている。
墓地の撤去作業は着々と進んでいるが、園側から何も知らされていなかった利用者からは、「家族同然の存在だったのに、こんなことをされるなんて」と憤りの声が上がっている。
丘陵地にあるペット霊園「宝塔」。
ホームページでは「創業26周年、敷地は1000坪」とうたい、火葬した遺骨を共同墓地に納める「一般葬」と、そのまま埋葬する「自然葬」を行っていた。
終日、開園しており、いつでも訪れることができたという。
関係者によると、園の入り口に閉園を知らせる看板が設置されたのは今年1月末。
利用者に説明はなく、園の電話番号も不通になったという。
4月から墓石の撤去工事も始まったが、「写真など思い出の品をお持ち帰り下さい。残りはいらないものとして対応します」との記載が追加されただけだった。
現在、園は墓石が無造作に転がっているほか、ペットのものとみられる骨や土が掘り返され、野ざらしの状態で放置されている。
なぜ突然閉園したのか。市財産管理課などによると、霊園一帯の土地は市街化調整区域で、氷室財産区が所有していた。
1985年、「窯業ようぎょうをする」という男性に1000平方メートルを貸したが、その後、男性がペット霊園を開業したという。
しかし、異臭などのトラブルが出てきたため、同財産区の関係者が2012年、土地の原状回復を求めて地裁に提訴。
翌年末に、2年以内に墓地を撤去して更地にすることを条件に和解が成立した。
同課は撤去作業が最近になって始まったとみている。
人の墓地や火葬施設の開設は墓地埋葬法で規制されているが、ペット霊園に関する法律はない。
一部自治体が条例などで規制するが、枚方市は「市として規制する条例を制定していないため、今のところ対応を取ることはできない」としている。
園を経営していた男性は現在、病気療養中といい、男性の親族は読売新聞の取材に、「詳しい事情が分からないので答えられない」としている。