人気の秋田犬ダウン、触られて愛嬌振りまき疲労
国内外での人気を背景に秋田犬の展示施設が今年に入って秋田県内で相次いでオープンしているが、中にはストレスで体調を崩す犬も出ており、各施設で対応に追われている。
秋田犬は、平昌ピョンチャン五輪の女子フィギュアスケート金メダリスト、アリーナ・ザギトワ選手(ロシア)や、モンゴルにいる元横綱・朝青龍に子犬が贈られて話題となっている。県によると、動物愛護法に基づく登録を経て秋田犬を展示している施設は12か所(今月11日時点)あり、このうち7か所は、秋田犬を観光資源として生かそうと、今年オープンした。
忠犬ハチ公生誕の地・大館市では昨年8月、「秋田犬ふれあい処どころ」がオープン。秋田犬の姉妹「あこ」「飛鳥」(いずれも2歳)が観光客を出迎えてきたが、今年8月末、飛鳥が下痢でダウンし、9月から休養を続けている。
施設を管理する市によると、8月には多い時で1時間あたり約100人の観光客が訪れたといい、「見知らぬ相手に触られ、愛嬌あいきょうを振りまくうちに疲労の限界を超えてしまった」(観光課)という。このため、9月からは来場者と犬を隔てる木製柵を設置。週5日だった展示日も、毎週水曜と土日、祝日に変更した。
今年に入ってオープンした施設では、犬にストレスを与えない展示方法を模索している。秋田市中通のエリアなかいちで4月に開設された「秋田犬ステーション」は、当初は週4日だった展示日を、6月から週3日に減らした。市が6月、千秋公園内に設置した「秋田犬ふれあい処」は、5頭の犬を交代で、毎日1、2頭ずつ展示し、犬に疲れが見えた場合、展示を途中でやめるなど負担軽減を図っている。
動物の「行動展示」で有名な旭山動物園(北海道旭川市)前園長の小菅正夫さん(70)は「秋田犬は元来、狩猟犬で、飼い主以外の人間になつく性質ではない。犬の生態や健康を最優先に考えた展示を工夫すべきだ」と話している。