埼玉栄高の生徒死亡事故、学校側が謝罪 運転していた生徒の様子を明かす「ずっと泣いていたと…」
埼玉栄高のグラウンドで深夜、男子生徒3人が乗った車が横転し、助手席に座っていた高校2年生の17歳の生徒が死亡した事故で、同校を運営する学校法人佐藤栄学園が19日、大宮市内で記者会見を行った。生徒たちがショックを受けている様子を明かし、事故について謝罪した。
田中淳子理事長・学園長は冒頭で、「本校の生徒の一命が失われました。いくら悔やんでも悔やみ切れません。ご冥福をお祈りすると共に、ご遺族をはじめ関係生徒、ご心痛を受けた皆様にお詫びを申し上げます」と謝罪。町田弦校長ら出席者4人が全員で頭を下げた。
事故は今月16日午後11時半ごろ、同校のグラウンドで発生。3人の男子生徒が乗っていた軽乗用車が横転し、助手席の生徒は頭を強く打ち、翌未明に搬送先の病院で死亡した。
無免許で運転していた16歳の生徒と、後部座席にいた17歳の生徒にけがはなかった。
事故車両はサッカー部が保有するグラウンド整備用の軽自動車で、グラウンド脇のトレーニング用の坂道に乗り上げ、助手席を下に横転したとみられている。
今回の関係生徒3人は全員寮生で、サッカー部に所属する生徒ではなかったという。
同校は、警察による事情聴取が続いていることから、「関係生徒は憔悴しきっていて、学校側も話を聞ける状況にない」とした。
高田直芳・教学本部長は関係生徒の状況について、「非常にショックを受けています。担任が電話をしたところ、運転していた生徒はずっと泣いていたと、お母さんがおっしゃっていたようでした」と明かし、「学校全体の、生徒の動揺・混乱を一刻も早く収束させたいと考えています。学校生活を元に戻したいです。そこに集中したいです」と述べた。
質疑応答で、田中理事長と町田校長の責任・進退が問われる場面があった。高田直芳・教学本部長が返答を代行した。
高田本部長は「まだ全容解明がされていない状況です。学校の管理体制については、捜査が進んでいくものと考えています。進退に関しては終了した段階で考えるべきものです。現時点では、進退の発言は控えたいです」と述べた。
田中理事長は会見の終盤にコメントを求められると、マイクを握り、「すべては校長をはじめ、理事長の責任です。事故はあってはならないことで、部活動の在り方、鍵の管理などを、一体となって各学園統一して指導をして参りたいです。すべては校長と理事長の責任です。これについては、これから考えていきたいと思っています。また、亡くなられた生徒の親御さんから、お葬式に来てもらいたいと言っていただき、それだけが心の救いです。これから学校一体となって事故防止に励みます。今回のことは謝るしかありません。申し訳ありませんでした」と重ねて謝罪した。
町田校長によると、18日に全校生徒に向けた説明会を行い、全校生徒で犠牲になった生徒に黙とうをささげた。
今後について、20日に臨時保護者会を開催して今回の事故や在校生の心のケアなどについて説明する方針を明かした。
埼玉県警は運転手の生徒らに事情を聴くなどして、事故の詳しい状況や鍵の管理体制などを調べている。