業種別申告漏れ金額、「風俗業」が平均3373万円でトップ 彼女たちが納税しない事情
新型コロナウイルス対策の持続化給付金で、性風俗店は支給の対象外となっている。「社会通念上、国民の理解が得られにくい」というのがその理由だ。
一方、“店で働く個人事業主”は支給の対象ではあるものの、「そもそも風俗嬢はきちんと納税しているのか?」と疑問の声もある。
性産業に従事する女性たちを取材してきた作家の酒井あゆみ氏が、彼女たちの納税事情を取材した。
この時期になると、国税庁は「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得が高額な業種」というデータを公表する。
11月末に発表された最新の「令和元事務年度」の順位では「風俗業」が1位だった。申告漏れの平均額は3373万円。追徴税額の平均は1053万円だ。
ちなみに業種別の2位は「経営コンサルタント」で申告漏れ額は3321万円。3位は「キャバクラ」で2873万円。
「風俗業」はこのランキングの常連である。
個々の案件について国税庁は明かさないものの、公表されたランキングからは「適切な納税をしない風俗嬢は少なくない」という実状が見えてくるだろう。
今年の上半期、次の著作の取材のため、計6名の風俗嬢に「コロナの影響」について聞くアンケートを行った。一部を紹介すると、
〈昼の仕事に就こうと求人を漁っているが、ずっと夜職一筋だったから社会復帰をきちんと出来るかも分からなくて怖い〉(27歳)
〈客足が減って激安イベントが増えた〉(40歳)
〈高熱の客は拒否可能な店に移籍しました。良い客がほとんど来なくなって、足元見てくるような遊び方知らない客が目立つようになりました〉(42歳)
〈来店数は激減しました。自分の内面的な話では、来店数激減→接客数の減少→モチベーションの低下→長期休暇となりました〉(35歳)
と、みな、仕事への不安を口にしていた。そんな苦しい状況にもかかわらず、私の「持続化給付金はもらいましたか?」という問いには、誰も「もらった」と答えないのだ。理由は給付条件である確定申告をしていないから、である。
なぜ確定申告をしないのか。ひとつには単純な知識不足というのがあるだろう。
だが、確定申告をしない最大の理由は「身バレ」だろう。風俗一本という女性ならまだしも、昼の仕事とかけもちをしている女性の場合、不自然な収入は他人に知られたくない。副業をしているサラリーマンがやるような、会社にバレない申告の方法というのもあるにはあるようだが、万々が一、風俗勤めがバレた時はピンチに陥る。であればいっそ申告をしない、ということになるのだろう。また、夫に内緒で風俗で働いている場合もある。きちんと申告すれば、扶養から外れてしまうことにもなる。風俗で働く9割の女性は申告をしていないのではないかと思う。