少年「人はあっけなく死ぬんですわ」娘を奪われた母親が「心情等伝達制度」でのやりとりを明かす 損害賠償を求める裁判は結審 福岡地裁
4年前、福岡市の商業施設で当時15歳の少年が女性を殺害した事件で、女性の遺族は少年とその母親に損害賠償を求める裁判を起こしています。
福岡地裁で9日、開かれた第1回の弁論で、女性の母親は「娘を返してほしい」と涙ながらに訴えました。
この事件は4年前、福岡市の商業施設で、当時21歳の女性が、面識のない当時15歳の少年に包丁で刺され、殺害されたものです。
事件前、少年院で矯正教育を受けていた少年は、仮退院後に入所した更生保護施設を抜け出し事件を起こしました。
少年は殺人などの罪で、懲役10年以上15年以下の判決が確定しています。
女性の母親と兄は、少年と、親権を持つ母親におよそ7820万円の損害賠償を求める裁判を起こし、9日、福岡地裁で第1回の弁論が開かれました。
少年とその母親は賠償金の減額を求めているほか、母親は、少年が施設にいた5年間、生活を共にしていなかったことを理由に、自身に監督義務はなかったと主張しています。
本人尋問で証言台に立った女性の母親は、娘を失った苦しみを涙ながらに語りました。
■殺害された女性の母親
「すごくいい子でした。あの子の成長を楽しみにしていました。何であんなにむごい殺され方をしないといけないのか。娘を返してほしい。」
裁判は9日、結審しました。裁判後の会見で、女性の母親は、ことし7月に利用したという「心情等伝達制度」についても話しました。
「心情等伝達制度」は刑務所の担当官を通じて、被害者の思いなどを受刑者に伝えるものです。被害者の心の整理や、受刑者の更生が目的で1年前に始まりました。
女性の母親は、少年が事件を思い返し謝罪の気持ちが生まれることを願いながら、質問を投げかけました。
以下は、当時、同席した弁護士が明らかにしたやりとりの内容です。
■女性の母親
「娘に包丁を向けたとき、刺したときにどう思ったか。」
■少年
「人はあっけなく死ぬんですわ。」
■女性の母親
「娘に抵抗されたときにどのように思ったか。」
■少年
「偽善者ですね。」
■女性の母親
「謝罪の意味を答えてほしい。」
■少年
「ごめんですね。」
■女性の母親
「被害弁償の意思はあるのか。」
■少年
「支払い義務はありません。」
後悔や反省の言葉は一つもありませんでした。
■女性の母親
「悔しい反面、これが本心なんだと分かった。もし、人としての心を持っているのなら、一言でもいいから謝罪の言葉を聞きたかった。自分がどれだけのことをやったのかく らいは理解してほしいと思います。」
その上で、「少年が今のまま刑務所から出てくることが恐ろしい」と語りました。
判決は来年3月24日に言い渡されます。