袴田巌さんの冤罪、最高検が42年の経緯を検証…初動捜査の問題点を認める
1966年に起きた静岡県一家4人殺害事件で、最高検は26日、死刑確定後に再審無罪となった袴田巌さん(88)に対する捜査・公判や再審手続きについて検証した結果をまとめ、公表した。
不適切に自白を迫った取り調べや証拠保全が不十分だった初動捜査の問題点を認めたほか、再審請求審で迅速な審理を行う意欲が高くなかったことが長期化した要因だと言及した。
事件では、捜査段階で「自白」した袴田さんが66年に強盗殺人罪などで起訴され、裁判で一貫して無罪を主張したものの、80年に死刑が確定した。
81年に再審請求し、2023年3月に再審開始が決まった。今年9月に静岡地裁が再審無罪の判決を出し、検察側が控訴せず、10月に確定した。
畝本直美・検事総長は「長期間、不安定な状況にあったことを申し訳なく思う」と袴田さんに謝罪する談話を発表。最高検が捜査・公判や、再審請求から再審開始まで約42年を要した経緯の検証を進めていた。
再審無罪とした地裁判決は、袴田さん有罪の根拠とされた血痕付きの「5点の衣類」などの証拠を「捜査機関による捏造」と断定していた。