狙いは…トランプ氏 プーチン氏と停戦交渉開始合意も透けて見える「実績づくり」と「米ファースト」
トランプ米大統領が12日、ロシアのプーチン大統領と電話会談しロシアとウクライナの戦争終結に向けて米ロが直ちに交渉を始めることで合意した。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に「プーチン氏は戦闘を終わらせたがっている。電話でやりとりし、そう遠くない時期にサウジアラビアで会談する」と話した。
互いの国を訪問し合う約束もしたという。ロシア大統領府も「話し合いを継続することで合意した」と明かした。
ロシアのウクライナ侵攻は24日で3年。節目を前に事態は急展開したが、今回の停戦交渉にはトランプ氏の“実績づくり”と“アメリカファースト戦略”が透けて見える。
天敵のバイデン前大統領は任期中、プーチン氏と直接対話はせず、ウクライナに軍事と巨額の財政支援を行った。
連邦政府のスリム化政策を取るトランプ氏としては大金の持ち出しとなる戦争支援は一刻も早く終わらせるのが得策と考えたもようだ。
ウクライナ問題を早めに解決してしまいたいという思惑もあるようだ。
英BBCは「トランプ氏には国境や貿易・関税、対中国問題と他に優先すべきことがある」との見方を伝えた。
トランプ氏の米国第一の姿勢は、ウクライナのゼレンスキー大統領への態度にも表れている。
トランプ氏はプーチン氏と合意後に、ゼレンスキー氏に連絡し、詳細を伝えた。事態を動かすために、戦争当事国の大統領への報告も後回し。
「彼の支持率は高くない。いずれ選挙になる」とまで言い切った。ゼレンスキー氏は「恒久的な平和を保障するために米国と歩調を合わせる」とコメントした。
トランプ氏のスタンドプレーに焦ったのがロシア、ウクライナと地続きの欧州各国。ドイツやフランス、英国など6カ国の外相は共同声明で「いかなる交渉もウクライナと欧州は参加しなければならない」と要求し、くぎを刺した。
ウクライナ侵攻を終結させることでノーベル平和賞を狙っていると言われるトランプ氏。記者団に、ロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合した2014年以前の国境に戻る可能性は低いとの見方を示し、ウクライナが求める北大西洋条約機構(NATO)加盟も「現実的ではない」と述べた。
ほぼロシアの要求に沿う形で“ディール”を進め、ゼレンスキー氏に譲歩を迫っていくとみられる。