中国で返金に滞り 料理教室ABCに巻き起こる批判
中国で7月末に全店舗を閉鎖した日本の料理教室大手「ABCクッキングスタジオ」による会員への返金が滞っていることが15日までに分かった。資金不足が理由とみられるが、直前まで新規会員を募集していたこともあり、批判の声が上がっている。
「返金は241元(約4800円)になると通知が来た」。上海のABC教室に通っていたという20代の女性は、時事通信の取材にこう話した。レッスンの未使用分として残っていたのは1200元で、返金率は2割にとどまる。別の女性は日本やマレーシアなどで受講する代替案を提示されたというが、「誰がわざわざ海外まで受講に行くのか」と憤った。
同社は7月31日夜に中国事業の清算を発表。関係者によると、同日まで会員を募集していたといい、従業員への通知も直前まで行われなかったもようだ。
北京市内のショッピングモールに入居する店舗を訪れると、調理器具などが放置されていた。店舗の入り口にはモールの運営会社名で「一方的な閉店であり、損害賠償を求める」との張り紙が。講師への給与支払いも一部滞ったままとみられる。
SNSには「夜逃げじゃないのか」「日本企業だから信頼していたのに」といった投稿が目立つ。北京駐在のある日系企業幹部は「日本の評判を落としている」と苦言を呈する。一方、ABC側は取材に対し「返金や取引先企業への債務については現地法人と委任先の弁護士事務所が対応している」との回答がメールであった。ただ、担当の弁護士の携帯電話はつながらない状態となっている。