勤務先ネイルサロンに放火と起訴された女性に無罪判決…「ほかの従業員も可能」「犯行動機を十分捜査した形跡ない」
静岡県袋井市で2018年、勤務先のネイルサロン店に放火したなどとして現住建造物等放火罪などに問われた女性被告(29)の裁判員裁判で、静岡地裁浜松支部(来司直美裁判長)は23日、「犯人であると合理的疑いなく認定するのは不可能」とし、無罪(求刑・懲役8年)を言い渡した。
被告は18年3月13日、店のスタッフルームに放火して天井や壁など13平方メートルを焼いたほか、移転後の同26日には新店舗の事務室にも放火し、33平方メートルを焼いたとして逮捕、起訴された。公判で「放火はしていない」と無罪を主張していた。
検察側は、1人で犯行に及ぶ機会があり職場への不満も募らせていたなどと主張したが、来司裁判長は「ほかの従業員も犯行は可能で、不満もあった。そもそも被告以外の従業員に対し、犯行の動機などを十分に捜査した形跡がない」とずさんな捜査を指摘した。
弁護側は「法と証拠にのっとった判決」と評価した。一方、静岡地検浜松支部は「判決内容を精査、検討し、適切に対処したい」とコメントした。