有本明弘さん死去 北朝鮮拉致被害者・恵子さんの父
北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さん(失踪当時23)の父、有本明弘(ありもと・あきひろ)さんが死去したことが17日、分かった。96歳だった。
恵子さんは妻、嘉代子さん=2020年、94歳で死去=との間に生まれた三女。神戸市外国語大生として英ロンドンに語学留学中だった1983年、デンマークのコペンハーゲン経由で北朝鮮に拉致されたとされる。
スペインで80年に消息を絶った拉致被害者の石岡亨さん(同22)の実家に、石岡さんの手紙とともに恵子さんの写真や直筆の書類が88年に届き、北朝鮮にいることが判明した。
明弘さんは嘉代子さんとともに長年、拉致被害者家族会で活動。全国各地で講演や署名活動に取り組み、被害者の早期帰国を求めて協力を呼びかけてきた。
2024年12月に兵庫県警本部で開催された北朝鮮による日本人拉致問題のパネル展にも訪れ、恵子さんについて「向こう(北朝鮮)で生きている」と繰り返し訴えていた。
未帰国の政府認定被害者で、存命の親世代の拉致被害者家族会メンバーは、横田めぐみさん(同13)の母、早紀江さん(89)だけとなった。
めぐみさんの弟で拉致被害者家族会代表の拓也さん(56)は「恵子さんに会わせてあげたかった。本当に残念です。ご冥福をお祈り申しあげます。政府は速やかに日朝首脳会談を行い、全拉致被害者の即時一括帰国を実現してほしい」とのコメントを出した。